見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

逸品・中国の陶芸/五島美術館

2005-07-22 22:40:21 | 行ったもの(美術館・見仏)
○五島美術館『館蔵 中国の陶芸展』

http://www.gotoh-museum.or.jp/

 同館が所蔵する中国陶磁器の名品展。もと、創立者の五島慶太氏が収集したものだ。個人コレクションというのは、博物館の学芸員が「学術的」な視点で集めたものとは、どこか違う。状態のいいものが多いし、どの作品にも、どこか人を惹きつける魅力があって、「眼福」を感じさせる。
 
 展示品の時代、地域、技法はバラエティに富んでいる。時代的には、戦国時代(紀元前4~3世紀!)から、漢、唐、宋を経て、明清時代に至り、中国の陶芸を通史的に一覧することができる。その中では明代の作品が多い(明治生まれの五島氏にとっては、清代って、ほとんど同時代で骨董の価値がなかったんじゃないかな)。

 三彩、青磁、白磁、青花、赤絵など、陶芸の技法もさまざまである。また、中国の陶芸は、青磁といえば浙江省の龍泉窯、白磁といえば河北省の定窯、黒釉の天目茶碗で知られる江西省の吉州窯や福建省の建窯、福建省の呉州赤絵など、特定の技法を得意とした「名窯」が、各地方にある。今回の展示では、そうした「名窯」の代表作を、簡単で要を得た解説とともに見比べることができて、非常に興味深い。

 全体を見渡した印象では、古典的な三彩・青花がやや少なく、青磁・白磁はほどほど、比較的、赤絵が多いように思った。明代の作が多いためでもあろうが、収集家・五島翁の趣味が反映しているのかも知れない。

 赤絵の種類もいろいろ覚えたので、ここにまとめておく。初心者のノートなので、多少の間違いがあるかもしれないことを断りながら。万暦赤絵(明代万暦年間、景徳鎭の官窯の産、絢爛豪華)・天啓赤絵(天啓・崇禎年間、民窯系の産、飄逸な味わいが日本人好み)・呉州赤絵(福建の産、自由闊達な筆づかいが特徴)・南京赤絵(清代、景徳鎮の民窯で輸出用に焼かれた)。勉強になった!

■参考:古伊万里のこころ 源右衛門窯
http://www.gen-emon.co.jp/
 白磁について調べていたら、上記サイトの「世界の古窯めぐり 第2回・中国白磁の旅」のページがヒットした。こういうテーマで統一した旅もいいな。ちなみに私は、昨年暮れ、はるばる佐賀県有田町を訪ね、有田駅~上有田駅間のショールームや資料館は、片っ端から見て歩いたんだけど、駅から遠い源右衛門窯は見残してしまった(いまさらだが、残念だなあ。いつになるか分からないけど、次回は必ず...)。さて、このホームページ、単なる商品の売込みに終わらず、「古伊万里トーク」「料理と器~出会い旅~」など、周辺情報が充実していて、けっこう面白いと思う。今後も応援したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする