見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

板橋区はエライ/板橋区立美術館

2004-06-27 19:14:46 | 行ったもの(美術館・見仏)
○板橋区立美術館 館蔵品展「これであなたも狩野派通!!~正信から暁斎まで~」

http://www.city.itabashi.tokyo.jp/art/

 板橋区立美術館に行くのは7、8年ぶりではないか。ときどき、面白そうな企画展をやっているなあと思いながら、私の生活圏と縁のない美術館なので、つい見逃していた。今回は、最近気になる狩野派がテーマということで、休日出勤の足で出かけてきた。

 感想はイイ!のひとこと。まず、入場無料であることに驚く。全て館蔵品のお蔵出しだから、安上がりに済んでいるのだろうけど、それにしても...である。

 「写真OK!」の貼り紙にも驚く。これも館蔵品だからできる措置である。そうと分かっていたら、デジカメ持ってくるんだった~!

 しかたないので携帯で撮った、お気に入りの一品。狩野元信の「ロバに乗る蘇東坡」である。丸々とした正面向きのロバと、やはり雪だるまみたいに丸々した蘇東坡がかわいい。カメラ持って、また行っちゃおうかな。どうせ無料なんだし。

 この作品の美術史的なタイトルは「東坡騎驢図(とうばきろず)」だが、今回の展覧会は「ロバに乗る蘇東坡」で紹介している。同様に「酔李白図」は「李白さん、しっかり」、「浮世美人風俗図」は「奥様、手紙を書く」といった具合に、誰にでも分かる展示題をつけている(記憶による)。ちょっとしたことだけど、こういう工夫、また説明も簡潔でよい。

 しかし、何よりすばらしいのは展示品の、すなわち所蔵品のセレクションである。国宝や重要文化財はないけれど、素人の我々が見ても本当におもしろい作品が選ばれている。

 たとえば、狩野内膳「山水人物花鳥貼交屏風」の、形態を抽象化した人物像。伝・狩野探幽「風神雷神図」の、劇画にもマンガにもアニメーションにも通じる溌剌とした動きの妙、など。

地下鉄や鉄道の駅から離れていて、いい立地条件ではないのだけれど、来ている人たちはみんな楽しそうだった。展示品の楽しみを邪魔しないよう、別コーナーに作られた「狩野派Q&A」もよく出来ていて、熱心に見ている人が多かった。

 ハコばかり立派で経営難に喘いでいる東京都の美術館や博物館より、よほどエライと思う。展示は7月4日(日)まで。



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