オーディオをやってて楽しいことの一つに「マニア同士の交流」が上げられる。
音楽の好みと音質への感性は人それぞれで、生まれも、育ちも、そして耳の形や脳細胞の連絡具合だって違うので、お互いに細部まで一致することはあり得ない。
したがって、手塩にかけたシステムを聴いたり、聴かされたりすることは異文化同士の衝突と同じことで、そこではいつも何らかの緊張感が漂い、そして示唆を受けることが多い。
久しぶりにKさん(福岡)から電話があった。(先週の話である)
「明日、試聴させてもらいたいのですがご都合はいかがですか?」
「もちろん歓迎です。あれからシステムの手直しを相当やってますのできっとご期待に添えると思いますよ。」と、自信ありげに答えたが、Kさんの耳は自分と違って只者ではないのではたして大丈夫かな?
SPユニット「AXIOM80」の同好者として、Kさんがこの3月に初めて我が家にお見えになってから通算すると今度が10回目のご来訪となる。かなりのハイペース。
お会いするたびに「〇〇さんとの交流のおかげで、俄然オーディオにヤル気が出てきました」と、いつも感謝されるが、な~に、裏を返せば相手よりももっと“いい音”を出してやろうと闘志満々のはず(笑)。
もちろん、お互い様で当方だってそう簡単には負けられない!
Kさんの最後の訪問日は5月24日だから今回はおよそ1か月ぶりになるが、その間もKさんを驚かせたい一心で着々と布石を打ってきた。
その中身はプリアンプ1台、パワーアンプ1台をリフレッシュし、RCAコードの総入れ替えといったところ。
「この家は、しょっちゅうシステムの一部が変わっているなあ」と、口さがない連中が言うが、それはたしかに事実で「AXIOM80」ユニットは、超デリケートなので周辺機器の何かを変えただけでピタリと反応してくれるので実にいじり甲斐がある。それはもう恐ろしいくらい。
さて、初めにプリアンプの改造箇所だが後日のために記録に残しておくことにした。
これまで音質に対する不満はまったくなかったが、オークションで購入した真空管(6DJ8)の当たり外れ(音質の格差や雑音)があまりに激しいものだから、念のためいつものMさん(奈良)に一度診てもらおうと先日送付して、このたび戻ってきたばかり。
その結果についての解説は次のとおり。
1 真空管上下同じ抵抗値にする 300オーム
交換する場所がハンダ作業容易なためとデイルのローノイズがありましたので交換。ローノイズと音質変化に期待しました。(別に上下同じでなければならないことではありません)
2 ヒーターバイアス40Vに設定、 220K、43K、47μF/100V を増設して左右分割電源に入れて、一方はダミーとする
ヒーター回路電圧は、左右共通なために通常はヒーターバイアス回路は1回路ですが、今回左右分割電源化のB電源最終フィルター仕上げをも目的に2回路作成し、1回路をダミーとしました。6DJ8真空管規格を見ますと、ヒーターとカソード間耐圧電圧は150Vです。ヒーターバイアス処理をしておかないと、上側6DJ8のカソードには140V位の電圧ですのでヒーターに40Vほどの下駄を履かせてやれば、140Vマイナス40Vで、100Vとなり耐圧電圧150Vに対して50Vの余裕となります。
3 電源電圧確認・・・降圧剤抵抗値を並列接続2本を1本に整理しました。
B電源回路の抵抗が並列接続で、見た目がイマイチでしたので、並列接続を1本にまとめて美しく(?)整理しました。
変更は以上のとおりです。
戻ってきたプリアンプを繋いで試聴してみると、明らかに透明感をはじめすべてが改善されていてパーフェクトの出来だった。これまで「AXIOM80」を鳴らすときのボリュームの位置が10時だったのが8時になったのが不思議。また、ツィーターの必要性をなぜか感じなくなったのが二度目の不思議。もちろんいいことには違いない。
次に、パワーアンプの2A3シングルステレオアンプ。購入してもう10年以上経つので、この際に劣化部分も含めて総点検してもらった。
今回の改善は、基本的に回路はそのままです。変更したのは以下の3点です。
1 アースポイントに菊座ワッシャを使用して、確実なアースポイントにしました。
2 出力トランスのシ-ルド端子とスピーカーゼロ端子が直接シャーシーに落ちていたので、出力トランス・シールド端子のみをシャーシに落とし、スピーカーゼロ端子はアースポイントに配線しました。
3 電源の高品質化を狙い、フィルムコンデンサーを最初の2段に(ブロックコン1本)使用、チョークコイル以降から完全左右分割電源にしました。今回は、2A3へのカップリングコンにオイルコンデンサーを使用していますので、日本刀のような切れ味はありませんが、ややマイルド!
如何でしょうか、切れ味をご所望でしたらフィルムコンになります。暫くこの温故知新のコンデンサーで試聴してみてください。
戻ってきたこのアンプも抜群の仕上がりで、我が家ではマルチアンプシステムなので初めからJBL用と決めているが、375ドライバー(中域)にあてがうか、それとも075(ツィーター)か、大いに迷ったが結局375にはPX25アンプをあてがって、このアンプは075用にした。
こうしてベストの態勢で迎える中、Kさんが我が家に到着したのは予告通りピッタリの11時。
さあ、いよいよ、真剣勝負の開始~。
以下、次回へ続く。