「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「主客転倒」は拙い

2020年03月04日 | オーディオ談義

このブログの読者ならお気づきのことと思うが、オーディオ関連の記事があまりにも連続すると拙いので意識してときどきそれ以外の音楽記事や独り言を織り交ぜることにしている。

オーディオはあまりにも面白過ぎてたまらない趣味なので、どこまでも深みにハマってしまう傾向にあるが、本来の役目といえば音楽を聴く道具に過ぎないので「主客(かく)転倒は拙い」という意識がいつも頭の片隅で働く。

そこで、つい先日の記事「クラシックの核心を読んで」もその一環で意識して盛り込んだところ、さっそく読者から反響があって、

本日の御記事、いい本を紹介していただいてありがとうございます。吉田さんの番組が終了して寂しい思いをしておりましたら片山さんのおかげでNHKに金を払う意味を見いだせました。このような本があったとはと、早速アマゾンで注文してしまいました。」

「ハイ、お役に立てたとしたら望外の喜びです」と、返信メール。こういうメールをいただくとほんとうにヤル気が出てきます(笑)。

そして、別の読者からはピアニスト「グレン・グールド」が「いかにもピアノらしい残響の豊かな、つまりよく鳴るピアノは好みじゃない」に関連して、過去記事「音の響きについて」では「趣旨が反対のことを述べておられましたね」というご指摘があった。

当方がすっかり忘れている記事だったが、読者の方がよく覚えておられるなんてとびっくりした。これだから、うかつなことは書けないと肝に銘じた(笑)。

内実を述べてみよう。その記事の要点となっていたのは「真空管アンプと音の響きについて」のネット記事の紹介だった。

「真空管アンプは、真空管の差し替えで音が変わります。最近私は真空管アンプに注目していますが、それは音源がPC/ネットワークオーディオになると、ますます潤いや音を作る楽しみが小さくなってしまうからです。

たしかに、PC/ネットワークオーディオでもケーブルを変えたり、再生ソフトを変えると音が変わるのですが、カートリッジの交換だけで1枚のレコードがまるで違う歌のように雰囲気までがらりと変わってしまったアナログ時代の音の変化とは、何かが根本的に何か違うように感じています。

デジタル時代の音の変化は、音の細やかさや透明感、立体感など「音質」に関わる部分で、音楽の雰囲気つまり「情緒」に関わる部分での変化が少ないように思います。

また、アナログ時代には「再生時の音作り」で生演奏よりも素晴らしい雰囲気で音楽を楽しめたのに対し、デジタル時代ではどう頑張っても生演奏を超えられないように思うのです。このアナログとデジタルの根本的な違いは、「響きの差」から生まれていると考えています。
 

音楽は響きの芸術です。音楽は、音の響きが多いか少ないかで情報量が変化します。良い例が「クラシック・コンサート」で、響きの美しいホールでなければ情緒深く美しい演奏が奏でられません。

演奏をより美しくするためには、楽器そのものの響きをさらに「響かせる」ことが必要です。音源がアナログオーディオの場合、再生プロセスではレコード盤そのものの響き、カンチレバーの振動など録音されていない「響き」が盛大に発生します。それを「味方」に付けることで音楽的な情報量を増やしたり、演奏の味わいを深められるのだと私は考えています。
 

ところが音源がデジタルになると、この「響き」が生み出されなくなります。アップサンプリングやビット伸長を行うことで音の細かさは向上しますが、響きが増えることはありません。

これが再生プロセスの芸術性でデジタルがアナログを超えられないと考える理由です。デジタルの音はアナログよりもあっさりしている、アナログのような暖かさや情緒深さが感じられない、立体感に乏しい、これらはすべて「響きが足りない」からだと考えられます。

このデジタルで不足する「響き」を補えるのが、真空管アンプです。今回のテストから明らかなように、真空管が音楽信号に呼応して響き、音楽の味わいを深めます。プレーヤー(音源)で響きを作るすべを封じられた今こそ、真空管アンプに注目すべきだと私は考えています。」

つまり、CDにしろSACDにしろさほどの変化を感じられなかった原因は「音の響き」がプアなせいだったのか、と思い当たった。

我が家の場合は、いまさらレコードに戻るのも億劫だしデジタルの音を「真空管アンプ+昔の高能率のユニット」で鳴らす方が「音の響き」にとって丁度いい塩梅だと勝手に思っている。

デジタルもアナログもそれぞれ長所もあれば弱点もあるので、長所をいかに伸ばし、弱点をいかにカバーするかが、ありふれたことだがオーディオの王道なのだろう。

そういえばオーディオ誌などを見ているとシステムや機器の「弱点」に触れている記事はまず見かけないのでうかつに信用できない。

たとえば「響きが足りないデジタルの音を響きの少ないTRアンプで鳴らす」風潮などがそうで、オーディオが衰退の一途をたどっている一因もその辺りにあると推察している。

とまあ、以上のような記事だったが、この伝でいけばグールドの演奏は響きの少ないデジタル音が合っていることになって、いささかの矛盾が生じることになるが、まあ、最後は「程度の問題」ということにしておきましょうや~(笑)。

最後に、高校時代の同窓生カメラマン「T」君が撮った「羽ばたくメジロと梅の花」です。



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