「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

マーラーの音楽からジャズとクラシックの再生を問う 

2024年08月27日 | 音楽談義
先日のこと、メル友の「I」さんから興味深い内容のメールが届いた。

ちなみに、ブログで情報発信をやってると全国各地からメールをいただくがず~っと継続して長続きしているのは「I」さん(東海地方)、「K」さん(横浜)、そして南スコットランド在住の「ウマさん」だけなのはちょっと淋しい(笑)。


「〇〇様にクラシックの話を持ち出すのは、ケンカを売っている(笑)ようなものですが、ご意見を聞かせていただけましたら幸いです。
 
当方、実は、マーラーが好きです。マーラーの交響曲を聴いていると、巨大な室内楽を聴いているような気分になります。なぜ室内楽のように聴こえるのか。よくわかりませんが、たぶん、指揮者なしで、奏者の間合いで演奏する方が合っているような気が・・・。
 
普段そんなふうに思っているところへ、先月NHKTVで、交響曲第4番室内楽版の放送がありました。演奏者はパリ管弦楽団&紀尾井シンフォニエッタ東京の10人編成です。室内楽版があったんだ!!
 
演奏は素晴らしかったです。初めは、やはりバイオリンとビオラはもう少し人数がほしいかなとも感じましたが、聴いているうちに「そんなことはない、これでいい」と納得できました。
 
その後、FMでも同じコンサートの放送がありました。音を比較してしまいました。どちらかと言えば、FMの方が好きな音ですね。今のTVやFMの放送は、マスターはデジタルとアナログどっちなんでしょうか。その後、DA、ADの変換はどのようになっているのでしょうか。知る術もないところですが。
 
ということで、マーラーの室内楽版についてどう思われますか。また、1番と4番はともかく、マーラーの交響曲はなぜあんなに長いのでしょう。長いことに必然性はあるのでしょうか。(音楽家の失業対策?失礼!)

というわけで「盲目蛇に怖じず」とばかり、次のように返信した。

「いつも当方の拙いブログに付き合っていただきありがとうございます。
そこでマーラーの話ですが・・。過去に好きになったこともありますが以下はあくまでも「現時点」での個人的な意見です。

マーラーは元々指揮者として大成した音楽家ですが、作曲の方はイマイチだと思ってます。ま、モーツァルトなどに比較すればの話ですが・・・。

大編成の曲目が多いのですが、それに意味があるのかなと思ってます。むしろ中身の薄さをカバーするためにコケオドシ的な要素もあるのではないかという気がします。ちょっと辛口ですが~。また、ときおり魅力的な旋律が出てくるのですがどうも部分的で持続しません。

また長さの方もこれまた大編成と同じで必然性があまり感じられません。

したがって私には縁の薄い作曲家だと思ってます。ただし、「大地の歌」の最終楽章にはいつも胸を打たれます。この曲にはずっと以前のブログ「大地の歌8枚の試聴盤」(2009.11.28)に記載したことがあります。

これに対して「I」さんからご返信がありました。

「ご回答ありがとうございました。早速「大地の歌」を聴きなおしました。(バーンスタイン・ウィーンフィル・キング・ディースカウ)
この曲は最終楽章だけでもひとつの作品として充分ですね。ということは、全楽章の作品としての在り方・必然性が薄いということにもなります。
 
今回、お話を伺って、なぜマーラーの交響曲を巨大な室内楽と感じてしまうのか、理由が少し見えてきました。
素晴らしい素材を内包している割には、交響曲としては構成に難がある(失礼!マーラーさん)ということでしょうか。
そこで、演奏家に素材を生かして欲しい・・・「室内楽」を聴きたい、となってしまうようです。
 
似たようなことを、チャイコフスキーにも感じます。また、パガニーニに対しては、誰もが思うことではないでしょうか。
もっとも、パガニーニの5番・6番の協奏曲のオーケストレーションは後世の作曲家の手によるもののようですが、あまり良くないですね。オーケストレーションには大変な才能が必要ということでしょう。
 
以下は、門外漢であるジャズファンの、世間知らずの戯言とお聞き流しいただきたいのですが、現代作曲家は、オリジナルの作曲もいいけれど、古典のアレンジをもっとしてみたらどうかと思います。
 
ジャズやポップス風ではなく、クラシック音楽の現代の技法を用いてです。新たな楽しみが生まれると思います。私が知らないだけで、音楽界では行われているのかも知れませんが。
 
今回はありがとうございました。クラシックには「曲」と「演奏」という2面があるのでまだ嗜好が分散していいのですが、ジャズでうかつにこのような嗜好をいうと、人間関係が悪くなりかねません。ジャズには演奏=演奏者しかありませんので。」

稀代のジャズ愛好家「I」さんからは、いろいろとご示唆をいただくことが多い。

たとえば、ジャズとクラシックの再生の違いについて、前者では「力感と勢い」が重視され、後者は「ハーモニー」が重視されるので、両者に対してオーディオ的には異なるアプローチが必要だと気付かされたのもその一つ。

ジャズの再生は「何でもあり」のようでオーディオ的には欠点になるところが聴感上ではむしろ長所になったりして、「個性」という言葉で片付けられるところがとても便利~。

その一方、クラシックの再生となると人間の耳は押しなべてハーモニーの違和感にはとても敏感に感じやすいので、家庭で十全に聴こうと思ったら、まずは泥沼の世界を覚悟しなければならない。

こんなことを書くとジャズ・ファンから盛大なバッシングを受けるかもしれないですね~。

最後に、ときどきですけど「クラシックもジャズも両方いける!」という二刀流のシステムに出会うこともありますので念のため(笑)。



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