「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「ゆでガエル」と真空管

2022年11月10日 | オーディオ談義

新刊「新失敗学」(畑村洋太郎)の中に次のような記述があった。(99頁)



「ゆでガエルという言葉があります。カエルはいきなり熱湯に入れると熱くてすぐに飛び出すものの、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失ってそのまま死んでしまうという寓話(ぐうわ)です」

つまり、「ぬるま湯に浸っていると危機が迫っているのに油断して変化に対応できない」というわけ。

真空管愛好家として身につまされる話ではなかろうか。

というのも毎日使っている真空管アンプの出力管や整流管の寿命が尽きかけて次第に音が劣化しているのに気付かないまま代えるタイミングを失っている状況を想像してほしい。

真空管は所詮は消耗品であり、どんなに気に入った真空管であろうと寿命がくるので、日頃からスぺアをコツコツと準備してきた。



我が家で保管している真空管(出力管、整流管など)の一部だが、ご覧のとおりすべて「縦置き」にしている。

STC、ムラード、GECなどイギリス系が圧倒的に多いが、これらを全部使い切ってから息を引き取りたいものだが、たぶん無理だろうなあ・・(笑)。

それはさておき、そもそも真空管の寿命ってどのくらいなんだろうか?

「盲目蛇に怖じず」で、言わせてもらうと球の種類やブランドでも違うので諸説あろうが、十把一からげに大まかに時間単位でいくと寿命を6000時間として幼年期が1000時間、壮年期が4000時間、老年期が1000時間といったところかな。

毎日5時間使ったとして1200日、およそ4年ぐらいの寿命になるわけだが意外に短い。

我が家では8台のアンプを日替わりメニューのように駆使しているが、球を保護する効果も脳裡の片隅にある。


さて、人間の場合は自分がどの年期に属するかは簡単そのものだが、真空管ともなるとはたしてどの時期に相当しているかこれを見分けるのが実に難しい。

新品を購入して使うのが理想だが評判のいい古典管ともなるとまず無理なので
やむなく中古市場で手に入れたものを使わざるを得ないが、そうすると履歴がわからないので見当がつかない。

これには実は苦い思い出があって3年ほど前のこと「STC」ブランドは長寿命だし、測定値付きの中古品「4274A」(整流管)をたしか8万円ぐらいでオークションで手に入れたものの使い初めて2年もしないうちにフィラメント切れでお釈迦に~。なけなしのお金をはたいたのにもうガックリ(笑)。


それはさておき、真空管が壮年期に当たるのならもちろんいいが、もし老年期に入ったとするといったいどのくらいで「姥捨て山」に行かせるか、その時期を常に意識せざるを得ないのが宿命だ。
      

いつぞやのこと古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」に真空管の寿命のノウハウに関して伝授していただいたので紹介しておこう。

「まず真空管は頻繁にON-OFFを繰り返しますと著しく寿命を縮めます。真空管の寿命があとどれくらいあるのか推定するのは非常に難しいです。Hickok社のチューブテスタでライフテストを実施するのが最も簡便な方法でしょう。 

ライフテストはHickok社の特定のモデルのみで可能ですので機種の選定は重要です。ライフテストが可能な最も安価なモデルは533型と思います。現在私は533型を使用しています。 
 
539Cが最も有名な高級機種なのですが、完動品は〇〇万円以上します。WEタイプは更に高価で故障時のメンテナンス費用も相当にかかります。533型ですと本体〇万円に送料+メンテナンス費用くらいでしょうか。 
 
最も有名なチューブテスタTV-7はHickok社の設計ですが、ライフテストができないのが難点です。私はチューブテスタのコレクターでもあり、修理待ちのテスタが15台以上あります。
 
チューブテスタの修理作業は非常に時間と費用がかかりますので1年に1台程度のペースで修理しています。部品が手に入らず10年以上手付かずのチューブテスタもあります。」

ご教示ありがとうございました。

とはいえ、現実にはチューブテスタを持っていない人がほとんどだろうから、気になる方は真空管をまとめて専門家に郵送して測定してもらうのも一つの方法ですね。


ちなみに我が家では真空管アンプのスイッチのオン・オフは慎重にしており、1時間以上家を空けそうなときはオフ、それ以外のときはオンの状態にしている。

したがって、家の近くをウォーキングするときはスイッチを入れっぱなしだが、
これって夏の時期のエアコンと一緒ですね(笑)。


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