去る3月19日付のブログ「苦節50年の歩み・・」で、「AXIOM80」に「スーパーツィーター」(以下「スーパー」)を追加したおかげで好みのサウンドが出現し、興奮のあまり次のような記述をしたのをご記憶だろうか。
「これまで50年以上オーディオをやってきたが、これがベストの音だと断言していい気がしてきた。オーディオは終着駅のない世界だとずっと思ってきたけど、どうやら辿り着けたかなあ・・。まあ、瞬間風速にならなきゃいいけどね(笑)。」
すると、めざとくこの文章に気が付かれたメル友のKさん(横浜)から次のようなメールが舞い込んだ。
「長い道のりも頂上に!、これは○○さんらしくないお言葉。でもご自身では気づいていますよね。近づいてみたらその先に”雲に隠れてた”次の頂が。まだまだやるべきことは山ほどあると思いますよ。当面の期待は”聴こえぬはずの高周波”よろしくお願いいたします」
アハハ、さすがによく分かっていらっしゃる(笑)。
これまで、「もうこのサウンドで十分だ!」と、何度思ったことだろう。
それが1週間も経たないうちに、何だかおかしいなあ・・と、次々に不満点がでてくる。極端な場合は前日の夜に素晴らしいと感激した音が翌朝になると一変してどうも冴えないなあ、いったいどうして・・。
さしたる原因に気づかないままに、こういうことの繰り返しを懲りもせず飽きもせず延々と繰り返していくのがオーディオ愛好家の「業」というものだろうし、いわば「不満足」が常態となっているのに、「この境地もまた楽しからずや」という不思議な心理状態ともいえる。
ただし、今回の「スーパー」の件に限っては、もう1か月以上経つが今でもその効果と思い入れはまったく変わらない。
で、Kさんのご期待に沿って今回は「AXIOM80」のオリジナル版(初期版:自作の薄板の箱)に「スーパ-」を追加してみた。
初めは「リボンツィーター」(デッカ)を温存してワーフェデールのツィーターで鳴らしてみた。
「このツィーターでもなかなかいいじゃない!」というのが第一印象だったが、やはり念のためデッカに交換した。
「スーパー」をローカットするマイカ・コンデンサーは0.15μF(マイクロファラッド)。
「クロスオーバーネットワーク早見表」によると、10万ヘルツ以上でのローカットになるが、人間の可聴帯域は「20~2万ヘルツ」とされているのでまずもって聞こえないはずの帯域だが、このスーパーがあるだけで不思議にも録音現場の空気感が伝わってくるんですよねえ。
また「AXIOM80」にはやっぱり繊細なリボンツィーターの方が相性がいいことを確認した。
読者におかれては、自分の家のツィーターは帯域が軽く2万ヘルツ以上もあるので「スーパー」は必要ないという方が多数だと思うが、どんなに優秀なツィーターであろうとクロスオーバー(以下「クロス」)を1万ヘルツ以下に設定していると効果が薄い。
あくまでも、クロスを10万ヘルツ前後にして「スーパー」専用の真空管アンプをあてがわないと顕著な効果は望むべくもない。
折しも、25日(金)にオーディオ仲間のNさん(大分市)が別の所用で我が家にお見えになったので、聴いていただいたところ「スーパーの有るのと無いのとでは繊細感がガラッと変わりますね」と、感心されていた。
で、今では「スーパー」を付けていないあらゆるシステムは「高音不足」といっても過言ではないという気がしている。
理論と現象の食い違いはオーディオにつきものだが、そういう意外性に満ちているからこそ「オーディオ」はとても止められそうにないですね(笑)。