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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

必要悪の代表選手「ネットワーク」

2020年11月20日 | オーディオ談義

「必要悪」という言葉がある。「広辞苑」によると「悪ではあるが、社会の現状からいって、やむを得ず必要とされるような事柄」とある。

けっして明るい前向きなイメージをもたらす言葉ではなく、どちらかと言えば「後ろめたい存在」といえる。

社会的にもいろいろあるが、実は「オーディオ」にも「必要悪」がありまして(笑)。

極端な話、「生演奏」と比べるとオーディオ機器はすべて必要悪みたいな存在だが、それではまったく話にならないのでシンプル・イズ・ベストの観点からいくと、さしずめ「スピーカー・ネットワーク」(以下、「ネットワーク」)あたりはその必要悪の代表選手ではなかろうか。

「ネットワークって何?」と訊かれても一言で説明するのは難しいが、簡単に言うと周波数帯域(人間の可聴帯域は20~2万ヘルツとされている)を低音域、中音域、高音域などの所定の帯域に分割し、その音声信号を各SPユニットに送り届ける役目を持った道具とでもいおうか。

興味のある方はググってもらうことにして、とにかくこれを“付ける”と音が悪くなるのはたしかで、これ以外にもそういう機能を果すチャンネル・デバイダーという代物もあるがこれも所詮は音を悪くする部品の塊りなので使わないに越したことはないと思っている。

フルレンジ型のスピーカーをひたすら愛する人たちがいるが、それを使う理由の一つとして「音を悪くするネットワークを使わないで済むから」という答えが必ず返ってくる。実は自分もその一人だが、悲しいことに「分かっちゃいるけど止められない」(笑)。

ちなみに、タンノイの同軸型ユニットだって2ウェイなので当然の如くネットワークが使ってある。

手元の改造前のウェストミンスターの仕様は「クロスオーバー1000ヘルツ、12db/oct」となっており、以前、裏蓋の16個のネジを取り外してじっくり観察したことがあるが、見るからに音を悪くしそうな細い銅線を沢山巻いたコイルや抵抗、コンデンサーが沢山
使ってあった。

もちろん、いい悪いは別の話でメーカー側の「音づくり」の一環なのでこればかりは部外者があれこれ口を挟む余地はないが、自分は大嫌いだったのでためらうことなく取り外した。

フルレンジ型スピーカーの再生帯域に物足りない人が、2ウェイ、3ウェイ型のSPシステムに移行していくわけだが、そのメリットは十分あるもののネットワークを使うマイナス部分をどれだけ意識すればいいのかと、ときどき思うことがある。

オーディオは常にプラス部分とマイナス部分の差し引きで考えるクセをつけた方がいいように思えて仕方がない。なぜなら自分が散々繰り返してきたような「高価な授業料につく」ことの歯止めになるから(笑)。

とはいえ、ネットワークはオーディオを楽しむうえで絶対に避けては通れない課題なので、いかに音質への悪影響を最小限に留めるか、使う部品の銘柄などを含めて多大のノウハウがあって実に奥が深い世界だと思う。

研究に研究を重ねた方たちも沢山おられるし、正直言ってとても自分ごときが偉そうに語る資格はない。

以上、前置きが随分長くなったが、ようやくここから我が家の実例に入らせてもらおう。

4系統のシステムのうち、ネットワークらしきものを使っているのはこの1系統だけ。それも少々変わった使い方をしている。



まず、箱の上に載せている「スーパー10」(ワーフェデール:口径25センチ)をいっさいコイルとコンデンサーを使わず「フルレンジ」として鳴らす。

普通の音楽ソースならこれで十分だが、このシステムは「オーケストラ」と「重量級のジャズ」用なのでやむなく低音と高音を補強している。

低音域「スーパー12」は定評のある「ムンドルフ」のコイルを使って300ヘルツあたりでハイカット(-6db/oct)し、高音域のJBL「075」はマイカコンデンサー(絶縁体として雲母を使ったもの)で8000ヘルツあたりでローカット(-6db/oct)しており、これらを2台の真空管アンプで駆動している。

これで「ネットワーク」の悪影響を最小限に食い止めた積りだが、音質としても今のところたいへん満足している。

ただし、どなたにもお薦めするのはちょっと自信が無いのであくまでも自己流ということにしておきましょう(笑)。



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