今朝(19日)4時頃に起きたときの室温は22度、湿度は70%と、すっかり秋の気配が漂ってきました。
さあ、いよいよ「読書の秋」の到来ですよ~。
作家の「桜庭一樹(さくらば かずき)」さんといえば、男性みたいな名前だがれっきとした女性(1971年~)である。
2008年に「私の男」で「直木賞」を受賞されている。
それはさておき、この度、彼女の読書遍歴を綴った「小説という毒を浴びる」を読む機会があって、ざっと目を通したところ少女時代からの読書量たるやものすごいもので、まったく度肝を抜かれてしまった。
読書の質はともかく量については自分もかなりのレベルと自負していたが、まったく足元にも及ばなかった。
プロの作家だから当然といえばそうなんだろうが、何だかミステリー好きのところなど読書の傾向が自分とよく似ているので最後まで飽きることなく読ませてもらった。
本書の中で「私の文庫オールタイムベスト10」が紹介してあったので記録しておくことにした。
✰ 「さむけ」(ロス・マクドナルド)ハヤカワ・ミステリ文庫
最初読んだときは後半まで退屈に感じてしまって、これじゃ「さむけ」じゃなくて「ねむけ」だよと思ったが、ラスト6頁でほんとうに恐ろしいことが起こり「こんな”さむけ”はこれまで感じたことない!」
✰ 「ジョン・ランブリエールの辞書」(ローレンス・ノーフォーク)創元推理文庫
壮大な大風呂敷の特大バロック小説で、上下巻出1000頁弱あるけれど爆笑しながらあっという間に読み終わりました。
✰ 「人間以上」(シオドア・スタージョン)ハヤカワ文庫SF
1940年代にアメリカで幻想SFの巨匠として活躍した「愛」と「孤独」の作家である。のっけから引き込まれてしまうこと請け合い。
✰ 「屋根裏部屋の花たち」(V・C・アンドリュース)扶桑社ミステリー
なんだこりゃーと思いつつ読み始めたらどうにも止まらないので、台風に直撃された週末などにお薦めです。
✰ 「聖母の舞台」(酒見賢一)ハルキ文庫
最初に読んでから10年は経っていると思うのだけれど、いまだに離れることができない・・・読書生涯で十本の指に入る怪作です。
✰ 「血族」(山口瞳)文春文庫
山口瞳が渾身の力を込めて書いた、自分の一族の過去を巡る物語。息子に「瞳」という不思議な名を付けた母。親戚一同が驚くほどの美貌を持っていた山口一族。彼らがなぜ美しかったのかが遂に解かれるシーンは鳥肌物!そうだったのかーー!
✰ 「されど修羅ゆく君は」(打海文三)徳間文庫
「春が匂った。せつないまでに春が匂い、ますます彼女の気分はふさいだ」という最初の一文から釘付けで軽妙な語り口で進む”うにゃうにゃハードボイルド”なストーリーから不思議なほど目が離せません。
気軽に読めるけれど読後感は奇妙なほど重たいのです。快作です。
✰ 「愛を乞うひと」(下田治美)角川文庫
40歳になった女性が娘とともに自分の過去を振り返り、修理できないまま生きてきたさまざまな事柄を一つ一つ確認しては心の引き出しにしまってゆく物語。
15年前に一人の女性によって書かれたこの小説の、ラストシーンにある静かな狂気から今日を予言するような現実の恐ろしさを感じます。
✰ 「楽園」(鈴木光司)新潮文庫
うっとりするほど壮大で力強いアジアン叙事詩!読んでる自分ごとキュキューと包まれるような、不思議な快感がありました。
✰ 「悪霊シリーズ」(小野不由美)講談社X文庫
ジャンルとしてはホラーだけど本格ミステリーの粒子みたいなのがびっしり詰まっていて、ミステリー好きにはどこもかしこもたまらん・・・。
わたしは冬場、風邪を引いて寝込んでいるときにこのシリーズか佐々木丸美のサーガを何日もかけて復習します。もう何回読み返したことか・・。
以上の10冊だが、1冊も読んだことがなかったのは悔しいというかありがたいというか。
まあ、何事につけ選択肢が増えるのはいいことで、図書館で比較的借りやすい「さむけ」「血族」あたりを手始めに読んでみようかな。
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