「東野圭吾の本はどうしてこんなに面白いんだろう。」と、読後につくづく感じ入ったのが最新刊「沈黙のパレード」。
こういう人気作家の最新刊をすぐに借りられるのが田舎の図書館のいいところで、都会ではこうもスンナリとうまくはいかないでしょうなあ(笑)。
あらすじはこうである。
「突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙(警視庁の刑事)が担当した少女殺害事件で頑強な黙秘権を行使して無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。
そして恒例の秋祭りのパレード当日、その容疑者が殺害される。復讐劇はいかにして成し遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川(物理学者にして探偵)に助けを求める。」
ガリレオシリーズの中でも特に評価の高かった「容疑者Xの献身」を思わせるような丁寧な人物描写だった。いったん解決したかに見えた事件の裏の裏に隠された真実を知るにいたり、まあこんなものだろうなというつもりで読んでいたところ、残り数ページに入ってから、まだ何かあるんだと思わせながらそこで想像だにしない真犯人が示される。
まさに練りに練られた構成の妙に流石は東野さんと感心するばかり。ただし、「容疑者Xの献身」の方は真犯人に哀切の情が残ったため、読後の余韻があったのに対し、こちらは殺人の動機にやや薄弱さが感じられるので少し劣るように思うが、それでもやはり傑作といっていい出来栄えだった。
東野さんの本がまだ3冊も残っているが、この作家はハズレがないのでメチャ、愉しみ~。
秋の夜長に音楽を聴きながらミステリーを読むってのは最高ですよ~(笑)。