オークションで超安値で手に入れたグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」。詳細は10月30日付の<グッドマンのスピーカー「ジャンク品」を落札>で述べておいたが、そもそも「グッドマンって何?」という方が多いかもしれない。
今から60年ほど前の古き良き時代のイギリス製スピーカーの製造元ブランドである。イギリス製といえば日本ではタンノイさんが有名だが、本国の方では明らかにタンノイさんよりも格上とされていたのは知る人ぞ知る。
ユニットだけ製作しエンクロージャーを作らなかったので地味な存在に終始したが、独特の翳りがあって一筋縄ではいかないブリティッシュ・サウンドの代表格といっても過言ではない。しかもクラシックもジャズも両方イケるところが頼もしい。
このマークⅡが試聴テストでOKだったので、裸のままウェストミンスターの上に載っけておいたのは記載したとおり。
テレビの音を聴くのならこれで十分だと思っていたのだが、マニアの常で段々と欲が出てきてしまった。
名(迷)アイディアは、ベートーヴェンがハイリゲンシュタットの森を散策しながら楽想を得たように、朝のウォーキングの途中で湧いてくることが多いが(笑)、突然次のように閃いた。
「こんな素性のいいスピーカーを裸のままにしておくのはまことに申し訳ない。そうだ、後面開放の箱を作って150マークⅡを収めてみよう。縦横40センチのサイズの箱をつくれば十分だろう。ユニットの背圧は後面開放だから、ウェストミンスターと背後の壁との空間を利用して逃がしてやれば、バックロードホーンもどきの効果が出てくるかもしれない。」
さあ、思い立ったが吉日。ウォーキングが終わるとすぐにホームセルフのお店に駆け込んだ。大きな集成材を丸ごと購入して、40センチ×40センチのサイズを6枚、板厚が1.15センチなので42.3センチ×40センチ(天板用)の板を2枚カットしてもらった。木材代とカット代を合わせて1500円なり(笑)。
さすがに作業の方は手間がかかった。
寸法取りから、ジグソーを使っての丸い穴開け、ペンキ塗りなど所要時間は5時間ほどかかった。
板への直接反射音は音を粗くするので右側画像のように内部のフェルト張りは欠かせない。また「澄み切った青空のような音」が特徴なので、ペンキの色は思い切ってライトブルーにした。まったく単純思考だ(笑)。
すっかり乾いてからウェストミンスターの上に載せて待望の音だし。さあ、どんな音が出てくるか。
この画像を見て、まるで「ちんどん屋」みたいなんて言わないで欲しい(笑)。
想像以上に低音域から高音域までバランスがとれて「いい音」が出た。伸び伸びと鳴り、しかも細かい音もよく拾う。さすがはグッドマンだが、ARU(背圧処理器)を使ってきちんとした箱に容れてやればもっと品が良くなるだろうと思った。
それにしてもテレビ用だけに使うのはもったいない、CDの音も聴けるようにしようとすぐにRCAコードを差し替えた。
ちなみにプリアンプは「E180CC」(フィリップス)、パワーアンプは出力管に「471ーB」(デフォレ)を使ったシングル。
試しに「サキソフォン・コロッサス」の「セント・トーマス」の冒頭のシンバルの一撃を聴いてみたところ、チリ~ンと理想的な音が出て心の底から参った~!(笑)
ウ~ン、これこそ「ウェストミンスター」の箱にふさわしいユニットかもしれない。そのうち是非・・・。
これで、我が家ではグッドマンの「AXIOM」4兄弟が勢揃いしたことになる。
番号の若い順からいくと「AXIOM80」、「AXIOM110」、「AXIOM150マークⅡ」、そして「AXIOM300」。
仲間によると「150マークⅡ」の後継機種が「300」だそうで、高入力用として改変されており、繊細な表現力からいくと「150マークⅡ」の方が一枚上とのこと。道理で、「300」のときはスーパーツィーターの必要性を感じたが、「150マークⅡ」では、前述のシンバルの音のように単体で十分だ。
いずれにしても、4つのユニットにはそれぞれに魅了されるところがあって、これでとうとう完璧なグッドマン党になってしまった。
おかげさまで、どうやら微かにだが山の頂が見えてきたような気がする。早くオーディオよりも音楽に専念しないと命の方が先に終わってしまう~(笑)。