「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

秋深き 隣は何を する人ぞ

2016年11月15日 | オーディオ談義

遡ること3か月前の8月のお盆の頃、ウォーキング後にフラリと入った書店で購入したが次の本だった。

       

このうち中央の「マイ オーディオライフ~32人のわたしのリスニングルーム~」は、全国津々浦々のオーディオ愛好家のシステムを紹介したものだった。

もう3か月も経っているのだから、とっくの昔に読み上げていたが何しろ記事のネタが満載で途切れることなく続いていたので、登載のタイミングを失ってとうとう今ごろになってしまった(笑)。

その昔、オーディオ専門誌を血沸き肉躍らせながら見たものだが、今ではこういう類の雑誌にあまり興味を持つことはなくなった。

「もう騙されないぞ!」思う反面、商売っ気とは無縁の素朴なオーディオ愛好家たちの32例のシステムの現状から何か得るものがあるかもしれないとの思いで購入したわけだが、時節柄「秋深き 隣は何を する人ぞ」(芭蕉)という心境に近い(笑)。

現代のオーディオ愛好家たちははたしてどういうシステムで鳴らしているのか、そういう中で我が家のシステムはどういう位置づけにあるのかを知っておくこともけっして無益なことではないと思う。「井の中の蛙世間を知らず」という言葉もある。

読了した結果、特筆すべきことが2点あった。

☆ グッドマンのSPユニットを愛好している方は皆無だった

我が家のオーディオの生命線はグッドマン製(イギリス)のユニットで、「AXIOM80」、「AXIOM110」、「AXIOM150マークⅡ」、「AXIOM300」に尽きるが、このグッドマンを使っている方がまったく居なかったのには少なからず驚いた。

そもそも、ユニットとエンクロージャーを別個に揃えるという発想がまったくないのだ。すべて箱と一体化したスピーカーを購入して使うばかりで、これでは背圧の処理方法や位相の管理、吸音材の差などオーディオの楽しみもへちまもなかろう(笑)。

周知のようにグッドマンはユニットだけ作って、タンノイさんみたいにエンクロージャーを作らなかった。おそらくエンクロージャーの重要性は認識していたと思うので、あえて作らなかったというべきだろう。

推測だがその理由の第一はユニットの能力を発揮する可能性を少しでも広げておくためにエンクロージャーの構造や大きさを所有者の裁量に任せたかったのではあるまいか。何しろユニットはエンクロージャーの工夫次第で生きもすれば死にもするのだから。

ちなみに、エンクロージャーの響きを重視したのが「ブリティッシュ サウンド」であり、JBLなどのようにユニットの直接的な響きを重視したのが「アメリカン サウンド」だと個人的には思っている。

いずれにしても巷ではグッドマン愛好家がほとんど皆無ということがよく分かった。

それで良し~。40年以上かかってやっと辿りついた「グッドマン・トーン」の妙味が簡単に分かってたまるかいな!(笑)

☆ 1930年代の古典管使用者は皆無だった

我が家には真空管アンプが数台、スピーカーが4系統あり、オーディオ仲間だって真空管アンプを15台近く所有して日代わり方式で楽しんでいたりで、それが当たり前だと思っていたら大間違いだった(笑)。

大部分が1系統のスピーカーを1台のアンプで鳴らす「本妻オンリー派」だった。「よく我慢できるなあ!」と感心したが、そのうち真空管アンプ愛好家となるとこれら32例中10例でおよそ3割程度だった。想像したよりは多かったが、1930年代の真空管を愛用している方となると皆無だった!

質、量ともに真空管の全盛時代といえば1930年代前後というのが通説だが、この時代の真空管の良さを知っていて使わないのか、それとも知らないので使わないのか、おそらく後者になるのだろう。そもそも接する機会がないのだから仕方ないが実に勿体ないこと!

しかし、80年前の球となると何かとトラブルがあるのも事実でけっして万人向けではない。好きな音を味わうためには「ハイリスク・ハイリターン」は付き物かもしれない。

いずれにしても我が家のシステムは「時代遅れ」というのがよくわかったが、せめてシステムのうち増幅系(アンプ)と変換系(スピーカー)の製造年代の時代背景を統一することだけは心がけている。

ちょんまげ姿の時代劇に背広姿が登場するのは滑稽だが、それと同じで真空管アンプ時代に作られたスピーカーを使うのにTRアンプはちょっとそぐわない。


なお、32例の中には超豪華なシステムも散見されたが、若い頃とは違って「うらやましい」とか「同じシステムが欲しい」とかはいっさい思わなかった。大掛かりになればなるほど能力をフルに発揮させるのが難しくなるので、つい「さぞや苦労されていることだろう」と同情の方が先に立ってしまう。

次にもう1冊印象に残った本がある。近隣にお住いのオーディオ仲間から借りた本で「管球王国」(2016 Vol・79)。

                        

本書の147頁に「1940~1970年代に活躍したミドルサイズ スピーカーの魅力を探る」をテーマに8機種の試聴テストが記載されていたので読んでみたところグッドマンの「AL120」がダントツで絶賛されていた。評論家3氏のコメントを紹介してみよう。

新 氏「8機種の中で最大の収穫はグッドマンのAL120で、まるで青春時代の音が蘇ってきた感じがしました。」

篠田 氏「私もAL120には鮮烈な印象を受けました。再生音楽をゆったりと楽しむのにはこういう音づくりも必要なのではないかと思います。」

土井 氏「私もグッドマンのAL120には新鮮な驚きを覚えました。」

といった調子。真空管アンプにかけては「千軍万馬」の評論家諸氏がこれほど仰るのだから「グッドマン恐るべし」
ですぞ!(笑)


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