「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

元の木阿弥

2016年04月08日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

4月1日から4日まで疾風怒涛の4日間だったが、今回はいよいよシリーズ3部作のお終い。

4月4日(月)

例によってお昼ごろに東京のオーディオショップからアッテネーターが到着。SP用のアッテネーターを繋ぐのは初めてだったが、DN-6の説明書どおりにしたら簡単だった。アッテネーターの端子に番号が1~3番まで割り振られてあるので分かりやすい。

1時間ほどでハンダ付けによる結線完了。

さあ、いよいよ試聴開始。フィリップスのウーファー(~4000ヘルツ)とJBLのツィーター075(4000ヘルツ~)の相性やいかにということだったが、そうは問屋が卸さなかった。やっぱりオーディオは甘くない。

        

両者の音質に違和感があって、どうもしっくりこない。もしかすると並み品のアッテネーターを買ったせいかもしれない(笑)。とりあえず、JBL075のボリュームをぐっと絞って控え目に鳴らすことにした。

実を言うと、いまだに過去においてJBLシステムをうまく鳴らせなかったという憾みが心の中に澱のように溜まっている。執念深いタチなのでいつかは雪辱をと秘かに狙っているのだが、これでは道遠しだ。8Ω用のツィーターを別途調達した方が良さそうだ。

そのうち14時ごろに大分からお客さん2名がご来訪。いつもオークションの出品をお願いしているNさんとMさん。ご両名とも熱心なマニアでそれぞれアルテックのA7、タンノイ・オートグラフを愛用されている。度々我が家にお越しになっているので、過去のシステムの変遷を熟知してある。

今回は丁度、システムの仕上がり具合を聴いていただくのに絶好の機会となった。

はじめに「グッドマンのAXIOM300+ワーフェデールのコーン型ツィーター」の出番。両方ともマグネットはアルニコ・タイプで、駆動するアンプはPX25シングルとオール・イギリス勢だ。そういえば音の入り口のCDトランスポートとDAコンバーターもdCS(イギリス)だ。

ボーカルや小編成の弦楽器を主体に1時間ほど聴いていただいたが、とても品のいい艶やかな響きに十分ご満足していただいたようだ。ワーフェデールを追加したおかげで倍音の響きの豊かさには持ち主ながら惚れ惚れするほどだった。「黄金の組み合わせ」とはこういうことを指すのだろう。自画自賛は滅多にしないのだが今回は別(笑)。

次は、にわか仕立てのウェストミンスターの出番。

駆動するアンプは「71Aプッシュプル」。シングルアンプには望めそうもない中低音の厚みとキレの良さは格別。改造のおかげでナス管の「227」(4本)が使えるようになったのは大きい。

試聴盤はオペラ「マクベス」(ヴェルディ)。大編成のオークストラと弩迫力のボーカルの組み合わせはテスト盤に持って来いである。

「雄大な音だ。この箱じゃないと出ない音。」と、なかなかの好評を博した。

現時点でツィーターとの相性を考えれば上出来の部類だろう。

最後の出番は「AXIOM80」で、アンプは「AXIOM300」のときと同じ「PX25シングル」。

澄んだ音色が響きわたって、一瞬にして部屋中の雰囲気が透明感と静寂感に包まれた。

「これは・・・」と一同絶句して、しばし沈黙。ふと、小林秀雄さんの名著「モーツァルト」にこういう一節があるのが思い浮かんだ。

「美は人を沈黙させるとはよく言われる事だが、この事を徹底して考えている人は意外に少ないものである。優れた芸術作品は、必ず言うに言われぬ或るものを表現していて、これに対しては学問上の言語も、実生活上の言葉も為すところを知らず、僕らは止むなく口を噤むのであるが、一方、この沈黙は空虚ではなく感動に充ちているから、何かを語ろうとする衝動を抑え難く、しかも、口を開けば嘘になるという意識を眠らせてはならぬ。そういう沈黙を創り出すには大手腕を要し、そういう沈黙に堪えるには作品に対する痛切な愛情を必要とする。」

3時間に及ぶ試聴が終わって、ご両名に「どのスピーカーが好きでしたか?」とストレートに伺ってみた。

異口同音に「それはもうAXIOM80に決まっているじゃないですか」。


違う答えを予想していたのでガックリ。な~んだ、元の木阿弥かあ!(笑)

翌日、真空管アンプを愛用されているNさんからメールが届いた。

「昨日は、お邪魔しました。〇〇様のシステムは、お伺いする度に変化が有り大変楽しいです。特に、ビンテージの真空管とビンテージスピーカーの組み合わせがいろいろ楽しめて”ベリー ナイス"でした。」

どうもお疲れ様でした。
 

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