「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~3人のオーディオ愛好家のご来訪~

2008年12月02日 | オーディオ談義

約1週間遅れの報告となったが、11月24日(休日)はまさにオーディオに明け暮れた1日だった。

午前中は大分市のN松さん宅でオーディオ試聴。その顛末は11月26日付けのブログ
「オーディオ訪問記」に記載。

そして午後は県外から3名のお客さんが誘い合わせて来てくれた。

そのうち小郡市のN村さんは10月中旬にお見えになったので2回目、ほかの2名の方はともに初めてのご来訪で、うち太宰府市のF島さんは既に顔見知りで今年の2月に湯布院のA永さんと二人で訪問した経緯がある。あのときのタンノイ・オートグラフの音は今でも耳に焼き付いている。今回は旧知のN村さんの電話による偶然のお誘いに応じてクルマに便乗された由。

また残るT代さんは佐賀県在住でN村さんと懇意にされており見るからにオーディオ歴が長そうな方で年末恒例の「第九」の合唱練習にも参加されている音楽好きの方。

あいにくの肌寒い小雨交じりの天気の中、すぐに霧がかかって速度制限が適用される高速道を縫ってようやく到着されたのが15時30分頃。

時間もあまりないのでご挨拶や説明もそこそこに試聴へ。

持参されたCD盤のうち
「ちあきなおみ大全集」(2枚セット)の中からいくつかピックアップ。彼女に対するオーディオ愛好家の根強い人気を確認した思いがしたが、まったく自分も同類項なのでその”歌唱力”にうなづくばかり。

次に取り出されたのが「’91宝塚歌劇全主題歌集」。シリーズものだそうだがT代さんによるとこの’91年盤が一番いいとのこと。「花夢幻」(一路真輝)、「花白蘭」(紫苑ゆう)、「心の白ばら」(天海祐希)など、往年のスターたちの競演。「やっぱり宝塚には華やかさと夢と希望があるなあ~」。人間いくつになっても若さを失わず夢を追いたいもの。

次に一転してクラシックで「佐渡 裕(指揮)、新日本フィルハーモニー」によるベートーヴェンの「第九」4楽章。最近、ソロや室内楽を聴くことが多いので本格的なオーケストラは久しぶりだが、鳴り出した途端に思わず「オヤッ」と思った明らかに低域不足。なんだか衆人環視の中、裸で突然舞台に放り出されたみたいで身の置き所がない感じ。

ジャズではまるで低音不足を感じなかったのに・・・。やっぱりオーケストラの本格的な再生は別格。

これほどのオーディオ愛好家たちだから、皆、口に出さないだけですぐに感付かれたと思う。しばらく聴いた後こちらの窮地を察したかのようにT代さんが4楽章はもういいので3楽章(緩徐楽章)にというご要望。これだと低域不足が比較的目立たない、「やっぱりそうか」と納得。

あとは自分の手持ちのジャズやヴァイオリン、ピアノの曲などを聴いてもらったが、そのうちN村さんが「自分は音質に低域とか高域とかの充実感を求めていない、ただ”音楽として聴けるかどうかがポイント”なんだ」といった趣旨のことをおっしゃった。

電気回路を通したオーディオ装置からは生演奏の音は絶対に出せっこないが、せめて近づけたいと日夜アタマを悩ませているのがオーディオ愛好家だが、その一つの回答がここにあるような気がする。さすがに長年の音楽愛好家らしい深遠な言葉だと思ったが、これは考えようによっては慰めてもらった意味合いが強いかもしれない。

いずれにしても、「総まとめ」ではどうにか「”合格ラインスレスレ”の低空飛行」といったところだろう。

あとは帰られる間際になって、スピーカーのセッティングが話題となりF島さんやT代さんからウーファーの向け方やツィーター(高域:JBL075)の位置などが論議となった。

そして、後日F島さんから届いたのがセッテイングに関する次のメール。

「英国の香りのする穏やかな音」「ヴァイオリン・ソロとボーカルが絶品」「音の鮮度と広がりに驚いた」との前置きのもとに「改善」に向けての要点が率直に記載されていた。おそらく、(こちらの受け取り様によっては礼を失するので)出そうか出すまいかと随分迷われたと思う。

1 左右のスピーカーの位置が離れすぎるため、現在の音が中抜け気味になっている。もっとアキシオム80(以下「80」)を内側に寄せる。

 わずかに「80」の余韻、ホーツトーンが不足している。スピーカー周りには何も置かない方がいい。ツィーターの075は「80」の上に置いて縦のラインで位相を揃えるべき。

 「第九」の4楽章では低域の厚みが不足していた。(※やっぱり!)せめてスーパーウーファーを「80」の真下に持ってくる。

 スピーカーの真ん中にきちんとした音場をつくりたい。ボーカルのCDを参考にしながら「80」とツィーターの角度を内側に向けてど真ん中から音が聴こえてくるようにする。

以上、タンノイ・オートグラフのセッティングに散々苦労されたノウハウが随所に生かされているのだろうとすぐに察しがついた。

これらのご指摘は大変ありがたいことで、もちろん試してみない手はない。実際にやってみても部屋の条件(定在波など)で音が確実に良くなる保証はないがダメなときはすぐに手作業で元の状態に戻せるようなことばかり。「善は急げ」とばかり早速、午後にセッテイングに取り掛かった。時間にして1時間ほどかかっただろうか。結果は次の写真のとおり。 

                →     
           11月24日時点              11月27日現在   
             
折角なのでこの際、F島さんのご指摘と合わせて杵築市のM崎さんから以前にもらっていた”気になる点”も考慮に入れてトライしてみた。

その”気になる点”とはウーファーJBL130Aと「80」との帯域のつながりがうまくいっていないこと。要するに130Aから出る音がでしゃばりすぎて「80」の音に「重なり過ぎ」という指摘。

そこで思い切って130Aの前に分厚い吸音材(40cm×60cm)をぶら下げてみた。タンノイ・ウェストミンスターのサランネットのカバーの中なので外からは見えないが、これが思いのほか功を奏したようでこれで明らかに干渉が少なくなり、低域のボリュームを思い切って上げられ随分と音の厚みが増した。

全体的なバランスも良くなり、いいことだらけのようだがしばらく様子を見たほうが良さそう。その日のコンディションによって左右される「体調」と「音質の判定」とが密接に関係している以上、性急な結果を求めるのは浅はかだろうし、何事にもプラス面とマイナス面とがつきまとうのはこの世の慣わし。

しかし、オーディオはこうやって「いろんな人の意見によって動きが生じて少しずつ前進していくのだなあ~」としばし感慨に耽ったところ。


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