ロシアNOW-2015年9月26日 エカチェリーナ・シネリシチコワ
AP通信撮影
クリミアとウクライナの間の検問所で、すでに数日間、クリミア・タタール人による封鎖形式の行動が行われている。ウクライナの商品を積載したトラックがクリミアに入るのを妨害し、政治的要求を行っている。クリミアでの反応は今のところ、落ち着いている。代替品の納入が検討され、地元のマスメディアによってナタリヤ・ポクロンスカヤ共和国検事の「強い勧告」が伝えられているだけだ。
クリミア共和国のポクロンスカヤ検事は、共和国情報省の助けを借りて、地元のマスメディアに「マジュリス」または「クリミア・タタール民族マジュリス」という言葉を使わないよう「強く勧告」した。マジュリスとはアラビア語で議会を意味する。このような組織はクリミアで登録されておらず、存在していないと、情報省を経由してクリミアのマスメディアに送られた書簡に記されている。
ポクロンスカヤ検事の書簡が情報省に届いたのは、マジュリスのムスタファ・ジェミレフ元議長(昨年8月よりクリミア・タタール人問題担当のウクライナ大統領全権代表)とレファト・チュバロフ現議長が、クリミアの検問所でウクライナ品を載せたトラックをウクライナ側から封鎖した翌日の9月21日。
議長らと一緒に封鎖を行っているのは、ウクライナ最高会議の議員、ウクライナ「右派セクター」の関係者(ロシアで禁止されている組織)、市民活動家、特殊部隊員。ウクライナ側によって、すでに「防衛」線が2本築かれている。検問所前にはトラックの長い行列ができ、生鮮食品を無駄にしないように引き返したり、テントを張ったりする運転手もいる。
要求は何か
マジュリスのナリマン・ジェリャロフ第1副議長は、ロシアNOWの取材に対し、行動に期限がないこと、目的はモスクワ向けの5つの要求に記されていることを説明した。具体的には、ロシアにいる「ウクライナ人の政治犯を解放する」、クリミアでの「クリミア・タタール人およびウクライナのマスメディアの仕事に対する違法な妨害をやめる」、「クリミア・タタール人に対する不当な迫害をやめる」、クリミア自由貿易圏法を変える、取引の構図を透明化する。
「今のような貿易を変えるべき。ほとんどの場合、商品は密輸されている。密輸でウクライナとクリミアの双方の役人と商売人が金を稼いでいる」とジェリャロフ第1副議長。また、現在30人から構成されるマジュリスは、封鎖に関する決定を正式に行ってはおらず、クリミアにいるタタール人はこの行動に無関係であり、行動しているのは、「ウクライナ本土にいることを余儀なくされている、あるいは自分の意志でいる」タタール人だという。
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はすでに、この行動がクリミアに対するウクライナの国家主権の早期再開に寄与するとして、行動への支持を表明している。ウクライナの国境警備隊と内務省は、行動にあたり、法と秩序を確保し、挑発を排除するよう命令されたという。
マジュリスは、ポクロンスカヤ検事のマスメディアへの勧告を封鎖に対する反応と考えており、「幼稚ないたずら」と表現した。「クリミアのマスメディアは大体、我々のことを良く言ってこなかったのだから、勧告で何かが変わるというわけでもない」とジェリャロフ第1副議長。
マジュリスをロシアで公的機関として登録しようとはしていない(ウクライナでは2014年3月に民族代表機関の地位を得た)。「これは基本的なポイント。マジュリスと我々の民族大会『クルルタイ』は民族全体の代表機関。このような組織の権利は、先住民族の権利に関する国連宣言で定められている」とジェリャロフ第1副議長。
封鎖の経済的影響
当のクリミアは、この行動に特に反応しようとはしていないと、クリミア閣僚会議のルスラン・バリベク副議長はロシアNOWに話した。唯一、クリミア政府は近い将来、ウクライナ品をロシア品に完全に切り替える。「クリミアはウクライナ品に依存していない。ウクライナの食品の需要は約5~6%。この行動はクリミアにとって政治的性格を持つものであり、地域経済へのいかなるダメージもない」とバリベク副議長は話し、これによってどこよりも苦しむのはクリミアとの取り引きが活発なウクライナのヘルソン州(トマト、ズッキーニ、キュウリなどを納入している)ではないかと付け加えた。
ロシア科学アカデミー経済学研究所のルスラン・グリンベルク所長は、クリミアの行政ほど楽観的ではない。「すでに商品の切り替えは活発に進んでいるが、あらゆる封鎖が今後のインフレにつながる。関係性は明らか。物価が上昇するだろう」
とはいえ、封鎖が長引きそうな気配は今のところない。ウクライナ世界戦略研究所のヴァジム・カラショフ所長はこう話す。「ウクライナ政府、ロシア政府、またクリミアの行政ならなおさら、長期化させたくはない。ウクライナでもこの行動に対する意見はさまざま」。クリミア・タタール人の主な目的とは、国際政治のレーダーから離れつつあるクリミアを元のレーダー範囲に戻し、ウクライナ政府により決定的な行動を取らせることだと、カラショフ所長は考える。
http://jp.rbth.com/politics/2015/09/25/427773
AP通信撮影
クリミアとウクライナの間の検問所で、すでに数日間、クリミア・タタール人による封鎖形式の行動が行われている。ウクライナの商品を積載したトラックがクリミアに入るのを妨害し、政治的要求を行っている。クリミアでの反応は今のところ、落ち着いている。代替品の納入が検討され、地元のマスメディアによってナタリヤ・ポクロンスカヤ共和国検事の「強い勧告」が伝えられているだけだ。
クリミア共和国のポクロンスカヤ検事は、共和国情報省の助けを借りて、地元のマスメディアに「マジュリス」または「クリミア・タタール民族マジュリス」という言葉を使わないよう「強く勧告」した。マジュリスとはアラビア語で議会を意味する。このような組織はクリミアで登録されておらず、存在していないと、情報省を経由してクリミアのマスメディアに送られた書簡に記されている。
ポクロンスカヤ検事の書簡が情報省に届いたのは、マジュリスのムスタファ・ジェミレフ元議長(昨年8月よりクリミア・タタール人問題担当のウクライナ大統領全権代表)とレファト・チュバロフ現議長が、クリミアの検問所でウクライナ品を載せたトラックをウクライナ側から封鎖した翌日の9月21日。
議長らと一緒に封鎖を行っているのは、ウクライナ最高会議の議員、ウクライナ「右派セクター」の関係者(ロシアで禁止されている組織)、市民活動家、特殊部隊員。ウクライナ側によって、すでに「防衛」線が2本築かれている。検問所前にはトラックの長い行列ができ、生鮮食品を無駄にしないように引き返したり、テントを張ったりする運転手もいる。
要求は何か
マジュリスのナリマン・ジェリャロフ第1副議長は、ロシアNOWの取材に対し、行動に期限がないこと、目的はモスクワ向けの5つの要求に記されていることを説明した。具体的には、ロシアにいる「ウクライナ人の政治犯を解放する」、クリミアでの「クリミア・タタール人およびウクライナのマスメディアの仕事に対する違法な妨害をやめる」、「クリミア・タタール人に対する不当な迫害をやめる」、クリミア自由貿易圏法を変える、取引の構図を透明化する。
「今のような貿易を変えるべき。ほとんどの場合、商品は密輸されている。密輸でウクライナとクリミアの双方の役人と商売人が金を稼いでいる」とジェリャロフ第1副議長。また、現在30人から構成されるマジュリスは、封鎖に関する決定を正式に行ってはおらず、クリミアにいるタタール人はこの行動に無関係であり、行動しているのは、「ウクライナ本土にいることを余儀なくされている、あるいは自分の意志でいる」タタール人だという。
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領はすでに、この行動がクリミアに対するウクライナの国家主権の早期再開に寄与するとして、行動への支持を表明している。ウクライナの国境警備隊と内務省は、行動にあたり、法と秩序を確保し、挑発を排除するよう命令されたという。
マジュリスは、ポクロンスカヤ検事のマスメディアへの勧告を封鎖に対する反応と考えており、「幼稚ないたずら」と表現した。「クリミアのマスメディアは大体、我々のことを良く言ってこなかったのだから、勧告で何かが変わるというわけでもない」とジェリャロフ第1副議長。
マジュリスをロシアで公的機関として登録しようとはしていない(ウクライナでは2014年3月に民族代表機関の地位を得た)。「これは基本的なポイント。マジュリスと我々の民族大会『クルルタイ』は民族全体の代表機関。このような組織の権利は、先住民族の権利に関する国連宣言で定められている」とジェリャロフ第1副議長。
封鎖の経済的影響
当のクリミアは、この行動に特に反応しようとはしていないと、クリミア閣僚会議のルスラン・バリベク副議長はロシアNOWに話した。唯一、クリミア政府は近い将来、ウクライナ品をロシア品に完全に切り替える。「クリミアはウクライナ品に依存していない。ウクライナの食品の需要は約5~6%。この行動はクリミアにとって政治的性格を持つものであり、地域経済へのいかなるダメージもない」とバリベク副議長は話し、これによってどこよりも苦しむのはクリミアとの取り引きが活発なウクライナのヘルソン州(トマト、ズッキーニ、キュウリなどを納入している)ではないかと付け加えた。
ロシア科学アカデミー経済学研究所のルスラン・グリンベルク所長は、クリミアの行政ほど楽観的ではない。「すでに商品の切り替えは活発に進んでいるが、あらゆる封鎖が今後のインフレにつながる。関係性は明らか。物価が上昇するだろう」
とはいえ、封鎖が長引きそうな気配は今のところない。ウクライナ世界戦略研究所のヴァジム・カラショフ所長はこう話す。「ウクライナ政府、ロシア政府、またクリミアの行政ならなおさら、長期化させたくはない。ウクライナでもこの行動に対する意見はさまざま」。クリミア・タタール人の主な目的とは、国際政治のレーダーから離れつつあるクリミアを元のレーダー範囲に戻し、ウクライナ政府により決定的な行動を取らせることだと、カラショフ所長は考える。
http://jp.rbth.com/politics/2015/09/25/427773