日高報知新聞2023.09.26
シャクシャイン像前で伝統のカムイノミによる礼拝
【新ひだか】アイヌ民族の長・シャクシャイン(1669年没)をしのぶ第77回法要祭(実行委主催・大川勝委員長)が23日、静内真歌公園のシャクシャイン像前で行われ、人間平等の理想と民族自衛のため和人と戦った英傑の霊を慰めた。
シャクシャインは松前藩の圧迫や過酷な搾取に対して、アイヌ民族のために立ち上がり、道内各地から同族多数の参加を得て静内からクンヌイ(渡島管内長万部町)まで攻め寄せるが、幕府の援軍にはばまれ、シベチャリ(静内地方)のチャシ(とりで)まで後退。松前藩の和睦交渉に応じたが、その席で謀殺された。法要祭は、シベチャリのチャシがあった真歌の丘で毎年開催している。
今年も道内各地のアイヌ協会幹部や道アイヌ協会の元加藤忠理事長、鈴木宗男参議、山岡達丸衆議、鈴木直道知事(代理)、松浦克巳内閣官房アイヌ総合政策室長、管内選出の小林雄志道議、大野克之新ひだか町長、鳴海修司新冠町長、遠藤桂一平取町長、生田泰日高振興局長、渡島管内の木幡正志長万部町長らが来賓として参列。一般参加者を含め道内外から約1200人が来場した。
アイヌの指導者として凛々しく平和への祈りをささげる姿の高さ約4㍍のシャクシャイン像の前で法要拝礼が行われた後、委員長の大川新ひだかアイヌ協会長(同アイヌ協会理事長)は「法要祭に多くの人の参加をいただき深く感謝。77回目となり、シャクシャインが亡くなってから354年となる。アイヌ民族は過去の歴史を重く受け止め、多くの方々と親交を深めつつ未来に前進しようとしている」とあいさつ。
来賓あいさつで大野町長が「イランカラプテ。快晴の中、法要祭の開催にうれしく思います。町の取り組みとして、昨年、国の交付金を活用しシャクシャイン記念館をリニューアルし、今年はアイヌ民族資料館の改修を行い、来年完成の予定です。アイヌ民族の方々の活動を支援しながら、ここを拠点に文化の振興、伝承に努めていきたい」と述べた。
シャクシャイン像の前で礼拝が行われた後、公園広場で「ハルランナ」(餅まき)が行われ、実行委や来賓が参加。昼食時にはマチェプ(シャクシャイン鍋、サケの串焼き)などが提供された。
また、法要祭後には日高管内各町や道東など道内11保存会から約120人が参加し、「第46回芸能文化交流会」(道アイヌ協会本部主催)も行われ、踊りと歌の舞踊を披露した。