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アートとグルメを堪能するなら青森がアツい! Penおすすすめの青森旅【青森市編】

2024-07-04 | アイヌ民族関連

Pen 7/3(水) 7:04

いま、アート好きのあいだで人気の観光スポットとして注目を集めている青森県。4月13日から9月1日まで、県内初となる『AOMORIGOKAN アートフェス 2024』が開催されている。本記事では、必見の展示とともに、旬の青森を感じられるグルメスポットなどをエリア別に解説していく。

【写真】青森県内の5つの美術館とアートセンターが「つらなりのはらっぱ」というテーマのもと展覧会やプロジェクトを展開する、『AOMORIGOKAN アートフェス 2024』が開催中。

『AOMORIGOKAN アートフェス 2024』とは

豊かな自然に恵まれ、伝統ある祭りや暮らしの手仕事、食など独自の文化が古くから伝わる青森県。その魅力をアートとともに再発見するアートフェスティバルが開催されている。青森県内の5つの美術館とアートセンターが、「つらなりのはらっぱ」というテーマのもと、ディスカッションを重ねて企画を練り上げた展覧会やプロジェクトを展開中だ。また共通企画として、栗林隆の体験型作品『元気炉』が各館を巡回する。

人間・動物・植物などの多様な訪問者たちが思い思いの活動を繰り広げる「はらっぱ」のように、そこには新しい風景が立ち上がり、子どもも大人も新鮮な何かに出会うことができるはずだ。各地で行われる夏祭りをはじめ、最も活気のある季節を迎える青森で、美術や工芸、建築 自然、食が緩やかに共振するアート巡りの旅を体験してほしい。

1.青森県立美術館

東京駅7時32分、新青森駅10時52分着の新幹線に乗り、地元のバスに乗り継いで、まずは、青森県立美術館へ。

世界遺産にも選ばれた日本最大級の縄文集落跡・三内丸山遺跡に埋蔵された縄文のエネルギーを糧に建設された青森県立美術館。隣接する発掘現場から発想を得た、トレンチ(壕)とホワイトキューブからなる斬新な建物は建築家・青木淳の設計によるもの。地面が幾何学的に切り込まれ、真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室と、土の床や壁が露出する隙間の「土」の展示室が対立しながら共存する、強度の高い空間だ。

また、菊地敦己デザインの「青い木が集まり森になる」という成長を表すシンボルマークやサインといった洗練されたVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)や、ミナ・ペルホネンデザインの制服など、洗練されたVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)も見どころだ。

館所蔵のコレクションには、青森県を代表する版画家・棟方志功や、現代美術家・奈良美智、「ウルトラマン」シリーズで知られる彫刻家で特撮美術監督の成田亨など、青森の風土が産んだ作家たちが名を連ねる。さらにマルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台背景画を展示するアレコホールなど、特徴的な空間を活かした音楽や舞踏、演劇などの舞台芸術活動やナイトミュージアムを展開している。

青森県立美術館の見どころ1 『かさなりとまじわり』

開催中のメイン企画『かさなりとまじわり』展では、美術館を設計した青木淳氏が提唱した「原っぱ」論を出発点に、展示室のみならずコミュニティギャラリーやワークショップエリア、屋外ヤードなども活用。それぞれの空間を「原っぱ」に見立て、館内外のいたるところでアートを発見・鑑賞・体験できる場を設け、美術館全体に大きな「つらなり」を生み出そうとしている。さらに、美術館を構成する各空間が「かさなり」ながら作品がインストールされることで、青森の自然と人間の「まじわり」、死んだものと生きているものの「まじわり」、現代社会のありようとこれから未来を切り拓いていく人たちとの「まじわり」の諸相を浮かび上がらせる。

なかでも特に重厚な展示が展開されているのが、世界的に活躍し近年鬼籍に入った2人の作家―原口典之と吉田克朗の青森との関連性をベースに、時間と空間の「かさなり」と「まじわり」のインスタレーションを構築したエリアだ。20世紀の美術を牽引した骨太な表現と、混迷する現代を生きる作家のエネルギーが交錯する磁場に圧倒される。

青森県立美術館の見どころ2 美術館のシンボルの屋外彫刻

青森県立美術館を訪れたからには、当館のシンボルである奈良美智の2点の屋外彫刻に詣でることをお薦めしたい。美術館西側の屋外空間に常設された高さ約8.5mの犬の立体作品『あおもり犬』と、美術館南側の敷地にある高さ約6mのブロンズ像『Miss Forest/森の子』は、ともに目を閉じて沈思黙考し、そこに辿り着いた人々の心をも鎮静させてくれる。

7月13日(土)からは『鴻池朋子展 メディシン・インフラ』も開催される。東日本大震災以降、旅をしながら野外の技法を習得し、ときには土木工事や縫いものをメディアに「絵」を描いてきた鴻池。昨年スタートした『メディシン・インフラ(薬の道)』は、鴻池が東北各地を巡り、縁のあった場所に自作を展示保管してもらう長期的なプロジェクトだ。作家自身の身体性のリアリティを拠り所に展開された「場」に観客の身体が晒され、アートの持つ効用がメディシン(薬草)のように豊かに染み渡るはずだ。

青森県立美術館の見どころ3 café 4匹の猫

広い館内をまわった後は、館内のcafé 4匹の猫でランチ。白を貴重にし、開放的な大きな窓が印象的だ。メニューは青森県のブランド鶏「あべどり」を使ったカレーやベーグル、青森県産牛を使用したカレーやピラフなど青森県産の食材を主役にしたものが人気。現在、『AOMORIGOKAN アートフェス 2024』の限定カフェメニューも展開しているので、そちらもあわせてチェックしよう。

青森県立美術館

青森県青森市安田近野185

TEL:017-783-3000

2.青森公立大学 国際芸術センター青森

2001年に開館した青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)は、八甲田山麓のダイナミックな自然と特徴的な建築が生み出す環境を活かし、現代芸術の多様なプログラムを発信するアートセンターとして活動している。作家が館に滞在しながら制作するアーティスト・イン・レジデンスのプログラム、展覧会、教育普及を3つの柱に、ジャンルを問わない展覧会やトーク、ワークショップなどを開催してきた。

世界的な建築家・安藤忠雄による建築は、周囲の豊かな自然環境を生かすため、起伏に富んだ地形を壊さないように配慮し、建物を森に埋没させる「見えない建築」をテーマにデザインされた。谷沿いに橋が架かるようなイメージの直線型の創作棟と宿泊棟、さらにギャラリーや円形の屋外ステージを備えた馬蹄型の展示棟の3棟から構成されている。春から秋にかけては、敷地内に点在する20 数点の野外彫刻を鑑賞しながら森の散策も楽しむことができる。

青森公立大学 国際芸術センター青森の見どころ1 出自を異にする作家たちの滞在制作とその思考

国際芸術センター青森(ACAC)のメイン企画の展覧会は、『currents / undercurrents -いま、めくるめく流れは出会って』。滞在制作した展覧会の参加作家7名と青森ゆかりの3名、青森市教育委員会所蔵のアイヌの衣服(後期のみ展示)によるグループ展だ。世界各地から表現者が集うこの場所で行われる本展では2つのキーワードを掲げる。「current」は、「現在」という意味を持つ一方で、海流や気流など、ある一定の方向に動く水や空気、電流などの変わり続ける流れを示す。また、「undercurrent」は、表面上の流れの下にある目に見え難い流れや暗示を意味する。これらの言葉を手がかりに、場所とかかわり合いながら表現をつむぎ出す国内外のアーティスト、そして青森ゆかりの表現が本展に集う。

作家たちの生まれた場所、定住する場所、訪れた場所、これから行く場所はさまざまで、展示を追うごとに、彼らの境遇があまりに異なることに気付かされる。同時に、いずれの作家もこの青森の自然豊かな里山に辿り着き、厳しい自然環境や独特の歴史とかかわり、思考を深めながら、それぞれの創作に取り組んでいることに胸を打たれる。

青森公立大学 国際芸術センター青森

青森県青森市合子沢152-6

TEL:017-764-5200

3.ウィーン菓子 シュトラウス

1日の締めくくりは、青森駅から徒歩10分のアーケード街にある「ウィーン菓子 シュトラウス」へ。ウィーン菓子 シュトラウスは、1893年創業の老舗和菓子店「甘精堂本店」に併設された洋菓子店。甘精堂本店の5代目社長である故・三浦祐一さんが、オーストリアで7年間修業を積み、当時まだ日本で取得している人が少なかったオーストリアの国家公認菓子職人の最高位である資格「コンディトア・マイスター」を取得。帰国後、1987年に同店の2階にカフェをオープンさせた。 40年近く経ったいまも、三浦さんの秘伝のレシピが受け継がれ、まるで現地のような空間の中で、オーストリアの伝統的なスイーツが楽しめる。

いちばんの人気は、本場オーストリアのつくり方や味を忠実に再現した「ザッハートルテ」。使用するチョコレートは、大理石の上で温度調整をしながら丁寧にテンパリングしているので、見た目の美しさはもちろん口溶けも豊か。生地にサンドしたアプリコットジャムの酸味が、濃厚なチョコレートフォンダンの甘みをより一層引き立てている。

ウィーン菓子 シュトラウス

青森県青森市新町1-13-21

TEL:017-722-1661

番外編 Penがお薦めする、青森を堪能できる宿2選

2泊以上の長期滞在をするのなら、ローカルな魅力を味わえる個性的な宿へ。番外編では、青森ならではのグルメや体験ができる2件をご紹介。美術館からは少し離れるが、無料のシャトルバスや県内ではお手頃な価格の往復貸切タクシーも出ているので、利用してみて欲しい。

星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル

奥入瀬渓流沿いに立つ唯一のリゾートホテルとして知られる、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」。「渓流スローライフ」をコンセプトに渓流が目の前に広がる露天風呂や、奥入瀬渓流を巡るワークショップなど、自然を通じて心から満たされる滞在ができるホテルとして、連日国内外から多くの観光客が訪れている。

奥入瀬の美しい景観はもちろんだが、岡本太郎の作品である2つの巨大暖炉に注目して欲しい。東館にある『大暖炉「森の神話」』はラウンジに、『大暖炉 「河神」』は無料のカフェコーナーになっているので、人が少ない朝と深夜、静まり返った暖炉でドリンクを飲みながらじっくり旅の疲れを癒してみては。

星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル

⻘森県十和田市大字奥瀬字栃久保231

TEL:050-3134-8094

旅の宿斉川@黒石市

旅の宿斉川は、黒石市の東側、八甲田連峰の東に位置する黒石温泉郷に位置する自然豊かな温泉宿。板留温泉の源泉掛け流しで、希望があれば貸切温泉に入ることもできる。十和田や八戸エリアからもアクセスがいいのもうれしい。旅館周辺には紅葉の名所で有名な「中野もみじ山」「津軽こけし館」「津軽伝承工芸館」など、すべて徒歩で行けるので、時間が許す限り散策してみては。

黒石市周辺は、青森県内でも山菜の種類が豊富なことでも有名。女将の斉川蘭子さんは、美容師時代に留学したニューヨークでの先進的なヴィーガン食に感銘を受けたことをきっかけに、青森県ならではの野菜を中心にした伝統食の魅力を再発見。この宿でも積極的に菜食メニューを取り入れることにしたという。

ダイニングにはカウンターが併設されており、食後は女将が選曲したジャズが流れるムーディーな照明のバーがオープンする。お酒もユニークなものが多く、青森県産の日本酒、シードル、ブランデーなど、青森を代表する酒蔵や蒸留所のお酒を中心にラインアップされている。アート好きな女将・蘭子さんと語らいながら、お酒を飲むのが楽しいひと時。

「アーティストや、アート好きな人の交流の場になれば」と語る蘭子さん。

近い将来、隣の土地に宿泊施設を増設してアーティストたちのアトリエをオープンさせる予定なのだそう。新たに計画中の新館にも足を運んでみたい。

旅の宿斉川

青森県黒石市板留字宮下8-1

TEL:0172‐54-8308

文:住吉智恵、Pen編集部 写真:溝口拓

https://news.yahoo.co.jp/articles/f16914e5a364c3c5bcfc4b3ee7611874cdba6427

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