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アナと雪の女王2 - レビュー

2019-11-30 | 先住民族関連
IGN JAPAN 2019/11/29

『アナと雪の女王』のような作品の続きを作るのは簡単ではない。前作はおとぎ話にありがちな展開を否定し、型破りなディズニープリンセス像を復活させたスマッシュヒット作だった。美しく、広大で、しかしフラストレーションの溜まる続編で、監督のジェニファー・リーとクリス・バックは作品の世界を広げたが、現代を意識した政治的なメッセージは(ポテンシャルはあったが)着地に失敗している。このことは『アナと雪の女王2』全体のメッセージを不明確なものにし、主人公たちの物語と本作で明らかになった過去の事実と矛盾している。
過去へのフラッシュバックシーンを経たのち、前作の直後から幕を開ける『アナと雪の女王2』は勢いのあるスタートを切り、本作の中心となる物語を手際よく紹介する。アレンデールを治めるエルサ(イディナ・メンゼル)と恋人と幸せに暮らすアナ(クリスティン・ベル)は平和なときを過ごしていたが、ある日、謎めいた声がエルサへと呼びかける。この声は最終的にエルサたちを、彼女たちの父親がかつて訪れた魔法の森へと導くことになる。しかし、エルサたちの父親が子供の頃に魔法に触れたことがあったという事実は「では、なぜ前作でエルサを長い間閉じ込めていたのか」という疑問をもたらす。このような物語の矛盾は、『アナと雪の女王』がもともと1本で完結する物語として作られたことを思えば不思議ではないが、気になる点ではある。
『アナと雪の女王2』のアニメーションはどこまでも美しく、アレンデール王国がより広く感じられるだけでなく、人間のキャラクターにはリアリズムとディテールが加わっている。前作ではエルサが誤ってアレンデールに永遠の冬をもたらしたが、本作の舞台は秋だ。紅葉とかぼちゃ畑に彩られたアレンデールは息を飲むほど美しい。アニメーションという観点から言えば、本作は完全な成功と言えるだろう
前半の見どころのひとつは、ジョシュ・ギャッド演じるオラフだ。前作では(時にイラッとさせる)ナイーブな雪だるまとして描かれていたオラフだが、ギャッドと『アナと雪の女王2』の脚本家は彼のキャラクターを180度変え、人生について深い悩みを抱えるキャラクターとして描いている。人生や愛の意味について詩的な言葉を口にするオラフのシーンは本作の見せ場のひとつであり、ギャッドは年を重ねることへの恐怖を実にコミカルに表現している。前作のオラフはいわゆる「お子様向けのキャラクター」だったが、本作で大人も共感できるキャラクターになったことは嬉しいサプライズだった。
オスカー受賞歴のあるソングライター、クリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスは続編でも若い視聴者に勇気を与えるであろう、力強い曲の数々を提供している。
本作にはウィットとユーモアもふんだんにある。ジョナサン・グロフ演じるクリストフはついに歌声を聞かせるチャンスに恵まれ、彼の曲は本作でもっとも笑える場面のひとつだ。しかし、映画の折り返し地点を過ぎると、姉妹のアイデンティティを無理やり森と結びつけようとしたことが映画の楽しさの邪魔をしている。この選択は映画全体のメッセージ性を強めるのではなく、逆に弱めてしまっている。
ネタバレを避けて説明すると、本作には自然と深い繋がりを持つ人々が登場する。彼らが北欧の先住民族サーミを表していることは明らかだ(実際ディズニーは『アナと雪の女王2』を作る前にサーミの人々とコンタクトを取っている)。しかし、残念なことにこれらの人々は帝国主義が原因となった対立を演出するためだけに使われ、意味のあるメッセージを残すことはできていない。
奇妙なことに姉妹が森の精霊を探すくだりは、『アバター 伝説の少年アン』の影響が強く感じられる。同作を観たことがある視聴者は『アナと雪の女王2』の一番のシークレットが『アバター 伝説の少年アン』からの直接的な引用でありながら、同作にあったメッセージ性が抜けていることにがっかりするかもしれない。
総評
『アナと雪の女王2』は野心的な作品であることは間違いない。しかし、他の大きな取り組みと同様、その野心には欠点もある。美しいアレンデールの世界を探索するのは実に楽しいが、最後まで突き詰められていないサブプロットは作品のメッセージ性を損なっている。
※本記事はIGNの英語記事にもとづいて作成されています。
https://jp.ign.com/frozen-2/40010/review/2
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