TAIWAN TODAY 2024/04/30
国家人権委員会(人権会)が、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」に関する台湾初の国家報告書に対する国際審査会議のため訪台した審査委員らと座談会を行った。奥の右から2人目が国家人権委員会の陳菊主任委員。(監察院サイトより)
国家人権委員会(人権会)が29日に発表したプレスリリースで、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(ICERD)」に関する台湾初の国家報告書に対する国際審査会議のため訪台した審査委員らと26日に座談会を行ったこと、また同委員らが27日には先住民族の集落を訪れたことを明らかにした。
国家人権委員会の陳菊主任委員は26日の座談会であいさつ、ICERDに関する台湾初の国家報告書の審査は国連の審査モデルに従って行われ、国際審査委員から89点に及ぶ結論性の意見が出された。国家人権委員会は政府がICERDをしっかりと実践していくのを責任もって監督し、人権に関する国際基準への到達を目指す」と述べた。
今回の結論性意見のうち国家人権委員会に関する部分について陳菊主任委員は、「すでに人権に関する申立てと対処の仕組みを定めており、現在は実際の執行状況を根拠に見直しを進めているところだ」と述べ、内外の民間団体との交流や意見の収集も行って中期計画を発表していることを説明した。中期計画には「エスニックグループ主流化」(政策全般にエスニックグループの視点を取り入れていくこと)及び先住民族の重要な権利、家事手伝いのための海外からの出稼ぎ労働者、司法通訳制度などICERDの重要な議題を盛り込んでいる。
陳主任委員は、国家人権委員会がICERDに関する台湾初の国家報告書に関する独立評価と意見をまとめる際には専門家・学者会議を3度、政府機関との座談会を3度、そして先住民族や外国人出稼ぎ労働者、「新住民」(台湾の人と結婚するなどして台湾に移り住んだ外国人及びその子女)、客家人(台湾で2番目に大きいエスニックグループ)、平地先住民、「閩南裔」(台湾最大のエスニックグループ、台湾人)の重要な権利問題について民間の意見を聞くための座談会を4度行ったと説明した。また、台湾東部・花蓮県の先住民族集落も訪問して、集落の代表たちと交流したという。なお、国家人権委員会は5月はじめにも民間団体との定期的な対話を行い、幅広く意見を募る予定だという。
国際審査委員会のManfred Nowak委員長は、自身が過去に国連拷問禁止委員会の特別レポーターを務めていたとき、拘置所や児童の収容施設などで自由の剥奪や人権の侵害が多く行われていることを知ったとして、台湾が早期に「拷問禁止条約」を批准するよう求めた。
国家人権委員会は27日には国際審査委員らを台湾南部・屏東県に案内。審査委員らは現地で先住民族の専門家や学者代表と対面し、先住民族の自決権、対話・同意権(先住民族の集落とその周辺に関わる土地や資源の開発には先住民族との対話や同意、参与が必要なこと)、健康の権利、狩猟の権利、動物保護、文化の権利の推進など先住民族の重要な権利問題について深く交流した。また、同県三地門郷にある先住民族の集落を訪れ、先住民族文化の継承を実地で確認した。