十勝毎日新聞2024.09.09
サケの豊漁を祈るアイヌの伝統儀式「アシリチェプノミ」
浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(差間啓全会長)は8日、新しいサケを迎える伝統儀式「アシリチェプノミ」を行い、豊漁を祈った。同団体は今年も「特別採捕」の許可を得て、浦幌十勝川で丸木舟を使ったサケ漁を1カ月間実施する。
アシリチェプノミは今年で5年目。十勝太新川水門付近で行われ、約30人が参加した。この日は7日に網入れして取れた雄サケ1匹を使い、差間会長らが「仲間のサケを連れてきてくれますように」との思いを込めて神に祈りをささげた。
続いて古式舞踊が奉納され、女性たちの歌声に合わせて男性会員が勇壮な「エムシ リムセ(剣の舞)」を披露。「ポロ リムセ(輪踊り)」では来場者と一つの輪になって踊った。
差間会長は「アシリチェプノミを行えるのも皆さん方の協力のたまもの。豊漁と皆さま方のご健康のために祈りをささげた」と話した。儀式後には十勝太コミュニティセンターでアイヌ料理の試食会も行われた。
同団体が国と道を相手取り、アイヌ民族が経済活動として河川でサケを捕獲するのは、先住権で認められるとしてサケ捕獲権の確認を求めた訴訟は4月に札幌地裁で棄却され、同団体は控訴している。