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プーチン発言「アイヌはロシアの先住民族である」は、「北海道はロシア固有の領土」と主張する前触れだ

2022-06-28 | アイヌ民族関連
PRESIDENT Online2022/06/27 10:00
名越 健郎 拓殖大学特任教授
予想外の「対日報復」の背景にある恐ろしい野望
日本のエネルギー事情が窮地に立つ恐れ
ロシア軍のウクライナ侵攻が長期化する中、日露関係も険悪化してきた。ロシア側は対露制裁を進める日本への報復を強化し、7日に北方領土周辺での安全操業協定の履行停止を発表。5月には、中露の戦略爆撃機による日本周辺共同飛行も行われた。

写真=SPUTNIK/時事通信フォト
クレムリン壁際にある「無名戦士の墓」で行われたドイツのソ連侵攻から81年目を迎える「追悼と悲しみの日」で、花輪贈呈式に出席するプーチン大統領=2022年6月22日、モスクワ
 外交筋によれば、ロシア政府は現在、対日政策の見直し作業を行っており、日露関係縮小を決める可能性が強い。その場合、ロシアは日本への報復制裁を拡大し、日露関係は一段と悪化しそうだ。
ロシアでは、新たな制裁として、海産物の対日禁輸や、液化天然ガス(LNG)を生産するサハリン2からの日本排除も検討されている。サハリン2への制裁があれば、日本のエネルギー事情が一段と逼迫ひっぱくしよう。
日本人の80%以上が制裁に賛成しているが…
岸田文雄政権はG7(主要7カ国)と連携し、ロシアに対して矢継ぎ早に対露制裁を発動した。すでに300以上の個人・団体の資産を凍結しており、プーチン大統領や2人の娘も対象とした。銀行や金融機関の資産も凍結し、主要銀行を米ドル決済システム、SWIFTから排除した。半導体やぜいたく品の輸出も規制。最恵国待遇を撤回した。日本企業も軒並み、ロシアからの撤退を進めた。
日本政府はさらに、在日ロシア大使館員8人を国外退去処分にした。欧米諸国が計400人以上のロシア外交官を追放しているのに比べれば少ないが、日本がロシア外交官の一斉追放に踏み切ったのは戦後初めてだ。
岸田首相は「ロシアの行為は戦争犯罪」「ウクライナ情勢は明日のアジア」と主張し、東南アジア諸国に対露制裁への同調を呼びかけた。各社の世論調査では、国民の80%以上が日本政府の対露制裁を支持しており、米国民の70%台を上回る。首相は対露強硬外交を参院選の争点の一つに掲げ、勝利を狙っているようだ。
安倍政権が目指した平和条約交渉は白紙に
ロシアは当初、安倍晋三元首相時代と打って変わった反露外交に面食らったようで、ザハロワ外務省情報局長は3月、「日本の現政権は、前任者らが長年作り上げてきた協力を一貫して破壊している」と批判した。しかし、徐々に体制を立て直し、対日報復を強化している。
ロシア外務省は3月、日本を「非友好国」に認定し、「現状において、日本と平和条約交渉を継続するつもりはない」と通告。北方領土でのビザなし交流や元島民の自由訪問も中止した。これにより、1991年のソ連崩壊後、30年にわたった平和条約交渉やビザなし渡航は破綻した。安倍氏が目玉とした4島での共同経済活動をめぐる協議も放棄した。
さらに、日本大使館員8人を報復で国外追放にし、首相や閣僚、議員、メディア関係者ら63人を無期限で入国禁止とした。外交筋によれば、ロシア政府は対日政策見直し次第で、第2、第3の入国禁止リストを公表するという。
次は北海道を「固有の領土」と言い出しかねない
ロシア要人も日本批判を強めている。プーチン大統領の盟友、パトルシェフ安全保障会議書記はロシア紙「論拠と事実」(3月29日)で、日本の対露制裁に触れ、「1945年の敗戦とそれに続く米国の占領の後、日本が完全に主権を回復していないことを想起すべきだ。日本は米国に指示され、厳しい反露政策をとっている」と非難した。
プーチン政権の発想では、世界で主権国家は米国、ロシア、中国、インドなど数えるほどしかなく、日本や西欧諸国は米国の支配下で、主権を制限されている。
ロシア野党・公正ロシアのミロノフ党首は4月、「どの国にも、願望があれば、隣国に領土要求を提出できる。ロシアは北海道の権利を有している」と北海道への領有権を示唆した。プーチン大統領は4年前、アイヌ民族をロシアの先住民族に認定すると述べており、アイヌが居住する北海道を「固有の領土」と言い出しかねない。
「予想外」と驚くほど対日攻勢を強める背景
ロシアの対日強硬姿勢について、日本外務省筋は「ウクライナ戦争と欧米への対抗で手一杯のはずなのに、予想外に反日外交を強化している」と驚きを隠していない。
背景には、日本がアジアで最も厳しい対露制裁を発動していることに加え、安倍外交の対露外交失敗の反動、中露の軍事提携拡大といった要素がありそうだ。ロシアが今後、軍事、経済両面で対日報復を強めるのは間違いない。
北方領土周辺では昨年以降、軍事演習を10回以上実施しており、島の要塞
ようさい
化を進めている。3月末には、国後島で夜間に強力な照明弾が発射され、海を挟んだ根室市民らを驚かせた。6月中旬には、ロシア海軍艦艇7隻が伊豆諸島付近を通過。揚陸艦などの津軽海峡通過もあった。
ロシア筋によれば、中露両海軍は昨年10月、日本列島一周共同航海を実施したが、6月15日以降も約10隻が日本列島周辺で共同航海を行った。準同盟関係に入った中露が、共同で対日圧力を強める構図だ。
数十億円分のウニが日本に入ってこない
ロシアは6月、北方領土周辺海域での安全操業協定の履行を停止すると日本側に通告した。日本漁船は1998年の協定に沿って、北方領土周辺で協力金を支払って安全操業をしているが、これもロシア側の報復措置の一環となる。
極東開発を統括するトルトネフ副首相は、北方領土海域での日本の漁業権を剝奪すると強調した。
択捉島の地元紙「赤い灯台」(4月13日)によれば、ロシア側は日本の「非友好的政策」を受けて、海産物の対日禁輸を検討している。北方領土周辺からは、カニやウニ、イクラなど年間約1万7000トンの高級海産物が日本に輸出されており、禁輸となれば、食卓への打撃は必至だ。カニやウニの価格はすでに高騰している。
ウニは国後島南部海域が好漁場で、日本への輸出額は年間数十億円に上る。ただし、ロシア人はウニを食べないだけに、禁輸は国後島の漁民を直撃することになる。
中国が「サハリン2」乗っ取りを要求する?
日露経済関係で最大の焦点は、サハリン2の行方だろう。日本はLNGの全輸入量のうち、約8%をサハリン2から調達。三菱商事と三井物産が参画するが、操業に当たる英シェルは撤退を決め、インド企業に売却を検討中と報じられた。
岸田首相は「エネルギーの安全保障上、極めて重要なプロジェクトだ」とし、撤退しない方針を表明している。サハリン2のLNGは長期契約で価格も安定している。仮に、撤収するなら、スポット価格で調達することになり、電気料金引き上げにつながる。
業界筋は「反日色の強い地元・サハリン州には、日本に撤退を要求する強硬論があるが、ロシア政府はそこまでしないだろう。投資環境が悪化し、得策ではない」としながら、①中国がロシアにサハリン2の乗っ取りを強要する、②バイデン米政権が日本に撤退を促す――可能性を指摘した。
こうして、ウクライナ戦争の長期化は、日本のエネルギー事情や食生活を脅かす恐れがある。
https://president.jp/articles/-/58959?page=1
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