信濃毎日新聞2022/07/10 14:03
■東北に残るアイヌ語起源の地名
前回、アイヌ語と日本語は「地続きで隣り合わせで話されてきた言語」だと書いた。それを不審に思った人もいるかもしれない。北海道と本州は津軽海峡で隔てられているではないか。それとも「地続き」というのは、単に日本国内で話されているという意味か?などと思った人もいることだろう。
私の言っているのは、文字通りの「地続き」である。
アイヌ語がかつて本州東北地方でも話されていたということに疑いの余地はない。その最大の証拠は地名である。例えば、東北地方には三内丸山(さんないまるやま)の三内をはじめとして、「遠野物語」の冒頭で柳田国男が「されば谷川のこの猿ヶ石に落合ふもの甚だ多く、俗に七内八崎(ななないやさき)ありと称す」と書いているように、内のついた地名が非常に多い。北海道にも、稚内とか真駒内のような「内」地名が数多くある。
これらの多くは、アイヌ語で「川」を表すナイという言葉に、内という漢字を当てはめたものと考えられている。他にも別や辺で書かれるペッ「川」や、牛と書かれるウシ「何々するところ」、前と書かれるオマイ「何々があるところ」などのアイヌ語を…
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https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022071000065
■東北に残るアイヌ語起源の地名
前回、アイヌ語と日本語は「地続きで隣り合わせで話されてきた言語」だと書いた。それを不審に思った人もいるかもしれない。北海道と本州は津軽海峡で隔てられているではないか。それとも「地続き」というのは、単に日本国内で話されているという意味か?などと思った人もいることだろう。
私の言っているのは、文字通りの「地続き」である。
アイヌ語がかつて本州東北地方でも話されていたということに疑いの余地はない。その最大の証拠は地名である。例えば、東北地方には三内丸山(さんないまるやま)の三内をはじめとして、「遠野物語」の冒頭で柳田国男が「されば谷川のこの猿ヶ石に落合ふもの甚だ多く、俗に七内八崎(ななないやさき)ありと称す」と書いているように、内のついた地名が非常に多い。北海道にも、稚内とか真駒内のような「内」地名が数多くある。
これらの多くは、アイヌ語で「川」を表すナイという言葉に、内という漢字を当てはめたものと考えられている。他にも別や辺で書かれるペッ「川」や、牛と書かれるウシ「何々するところ」、前と書かれるオマイ「何々があるところ」などのアイヌ語を…
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