佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

種子島のシマアジ釣り/続き

2009-07-16 14:35:26 | 釣り
今回は黒松氏に甘えて海のオオカミといわれる大型のシマアジ狙いに挑戦だ。
潮の速さも解らずに100号の重りで投入したところ、150mも巻いている道糸が見てる間に見る見るうちに無くなっていくので、これはいかんと気付いた。

が、時すでに遅し。重りを変えるために巻き取り始めたが、これがちょっとやそっとで巻き取れない。100号の重りを簡単に引っ張っていく潮なのであるから、当然である。

なにせ船の釣りと聞くだけでいつもなんやかんやと言っては逃げ出していたのであるから、今回のような大海の台風後の船上、へっぴり腰の上に船酔い気分。でも何とか1匹大物を釣りたいのと、あまり格好の悪い姿をみんなに見せたくない気持ちがある。見栄っ張り?、そのためにも歯を食いしばっての釣りである。

その仕掛けを今度は重り200号、ハリス12号にして再投入する。シマアジと言う魚はアジ科だけあって目が良い上に口元が弱い。そのくせ馬鹿力であるので、ハリが口元に掛かったのでは取り込み時にたいがいバラしてしまう。これが大型になれば当然バラシも多くなる。

何投目かの投入後、竿が一気に持ち込まれた。船縁に寄りかかって、満月の様になっている竿を何とか持ちこたえつつ起こし、リールを巻きにかかった。

相手は相当の大物らしく、ちょっとやそっとで浮いてこない。横では黒松氏もやりとりの最中なので助けを求めるわけにいかない。

慣れない船釣りであるが、磯釣りの要領でポンピングをしてやっと引き寄せて船頭さんにギャフをかけてもらった。実寸80cm、本日第1号のオオカミ級のシマアジであった。

隣の黒松氏はバラしたらしく、船頭さんと「ヘタクソー!」「ヤカマシー!」と笑いながら言い合っている。彼の場合、これまでに数多く大物を釣っているので、少々逃がしても何ともないらしい。でも私はそうはいかない。

滅多に船釣りをしないので、こんな時は1匹1匹が大事で真剣勝負である。とにかく大物を1匹釣ったのでボウズを逃れたのでほっとしている。

他の船のメンバーはどうなのかなーと聞く前に船頭さんが無線でやりとりをしているのが聞こえてくる。小型とはいえ50cm級を数多く釣っている様である。

ここのシマアジ釣りは電動リールを使わずに手巻きで勝負するので、大型が来ると大変であるが、それだけに興奮の度合いは高くなる。

黒松氏はハリス14号が飛ばされたとか言いながらもさすがにベテラン、次から次へとシマアジを釣り上げている。私も新米ながらオオカミ級は2枚上げてるので満足である。

今日は最終日、夕方の飛行機で帰る予定だが、この様に釣れるチャンスはなかなか無いとのことなので、まだまだ釣りたいが仕方がない。後ろ髪を引かれる思いで帰港した。

港で皆さんが魚を並べて品評会をしているところへ、私と黒松氏が本日最大のシマアジを披露したので、一気に注目の的になった。平均サイズが50cm級のところへ80cm級が現れたのであるから、当然のことであった。

こんな大満足のシマアジ釣りに2度と来ることはないであろう。誘ってくれた黒松氏と中山氏に感謝申し上げたい。

この釣行の数年後に彼はガンのためにあっけなく他界された。彼が目標としていた黒松の里もそのために座礁してしまった。

シマアジ釣りでは日本一の釣り師であろうとも言われた人物であった。私とは最初で最後のシマアジ釣りの師匠でもあったが、もう一度、一緒に釣りにいきたかった。彼にとっては、太く短い人生であったと思います。謹んでご冥福を祈ります。
コメント
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