佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

港湾施設における釣り問題/新潟県の場合/その3

2009-07-05 13:08:00 | 日々の思い
第2 港湾施設への立入規制及び釣り場としての開放に関する考え方

1.港湾施設への立入規制

(1)立入規制の必要性
港湾施設での釣りをする危険性や港湾管理者としての事故防止などの責任、港湾本来の物流機能への支障等を考慮すると、港湾施設への立入規制は、今後も原則として継続する必要がある。

(2)立入規制の程度
立入規制は、各港湾施設の危険性の度合い、立入規制自体による円滑な荷役作業などへの支障の度合いなどを総合的に勘案して、必要な程度を検討する必要がある。また、仮に事故が発生しても港湾管理者が法的責任を負わない程度に実施する必要がある。

  
2.釣り場としての開放

(1)基本的な考え方
 ア.部分的な開放に向けた検討の必要性
事故発生状況を踏まえ、より効果的な事故防止策を検討すべきであり、規制強化の方向と部分的な開放(安全対策を講じた施設への釣り人の誘導)の方向が考えられる。

健全な娯楽を楽しみたいとする釣り人の思い、条件付きなが開放が適当とする県民意識、観光振興の効果を考慮すると、まず部分的な開放の可能性を検討することが適当である。

イ.開放に当たっての主な条件
開放により港湾本来の機能に支障が生じないこと、釣人の安全やマナーが確保できることが不可欠である。また、開放に要する経費の負担について、県民の理解が得られる必要がある。

ウ.いわゆる「自己責任による開放」
安全責任をすべて釣り人自身が負うという「自己責任による開放(=行政は免責)」を求める意見もあるが、国家賠償法や判例に照らして、特段の安全対策を講ずることなく開放して事故が発生した場合は、行政が全面的に責任を免れることは困難である。

(2)開放する施設の選択及び開放にあたっての安全対策、マナー対策等

ア.港湾施設の維持からみた港湾施設の評価
岸壁は、荷役作業の支障となるため、原則として釣りは認められない。防波堤や護岸で釣りを行っても、基本的に港湾機能には支障にならない。

イ.釣り場としての好適性から見た港湾施設の評価
釣果を重視する釣人は、防波堤の開放を望み、手軽に海釣りを楽しみたい人は護岸や岸壁の開放を望んでいる。

ウ.危険要因からみた港湾施設の評価
高波や避難条件の悪さから見ると、港奥の岸壁や護岸に比べ、外海に突き出た防波堤の危険性は高い。

エ.安全対策(危険要因への対応)
釣り場としての開放に当たっては、危険要因に対応して必要な対策を講ずること(対策が困難な場合は開放しないこと)によって事故の発生を予防すると共に、事故が発生した場合は迅速な救助が行われる体制を整備する必要がある。

例えば高波に対しては波高予報の活用による釣り場の閉鎖が有効であるが、予報にすべて依存することなく、釣人自身の注意や釣り場の管理者の監視・指導も必要である。

具体的には、各港湾施設における危険要因の種類及び程度に応じ、安全対策に関し国が示している留意事項や他県で実施されている対策等を参考に、釣り場として通常有すべき安全性の観点から慎重に検討する必要がある。

オ.マナー対策
ゴミの放置や迷惑駐車等の防止など、マナー確保は不可欠である。マナー確保には、釣人自身の適切な対応が最も重要だが、釣り場の管理者も釣り人への指導、駐車場やトイレの確保により違反行為を防止すべきである。

カ.開放する施設の具体的検討(新潟港を例として)
3種類の港湾施設(各2箇所)について、開放の可能性や課題を検討した。
         
護岸は、安全性は確保しやすい反面、多くの釣人を惹きつける魅力は十分でない。
沖合いに突き出た長大な第一線防波堤は、多くの釣人を惹きつける魅力はある反面、海象急変時の安全確保、安全対策に要する経費の大きさなど、解決すべき課題が多い。(なお、開放の可能性を完全に排除せず引き続き検討することが望ましい。)

その他の防波堤は、釣り場として一定の魅力があり、安全確保も第一線防波堤に比較すれば実行しやすい。

(3)開放に要する経費の負担及び釣り場の開設者

ア.開放に要する経費の負担 
安全対策等の開放に要する経費(施設整備費及び管理運営費)は、入場料等として釣人が負担することが基本であるが、観光振興や健全な娯楽の場の提供等の公共的な意義もあることから、行政が施設整備費などについて一定の負担をすることも検討すべきである。

イ.釣り場の開設者
釣り場が緑地公園等と同様に港湾施設の一部として必要な施設であるとすれば港湾管理者が開設すべきであり、そうでない場合は港湾管理者以外の者が開設すべきである。

港湾管理者以外の開設者としては社会的な信用と十分な組織体制・財政基盤を有する団体が適当である。
なお、いずれの場合も、事故が発生したばあいは、港湾管理者としての責任が問われる場合がある。

第3 まとめ

研究会としては、真に危険な施設を除き部分的な開放を指向することが適当であるとの結論に達したが、開放すべき具体的な施設や具体的な安全対策等については、判断を留保した。
   
県においては、研究会における議論を足掛かりとして、今後釣人などの関係者や関係機関と更に議論を重ねながら、港湾施設の部分的な開放に向けて、具体的に検討を進めることを望む。釣人にあっては、立入規制を含めルールやマナーを守るとともに、自らの命のおもさを自覚し、安全に対して最大限の配慮をしながら、釣を楽しんで欲しい。

上記・新潟における検討事項を釣人の皆さんの参考のために掲載しました。
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