先日、某番組を見ていたら、細木数子が「知らなすぎる」と連呼していました。あれ?「知らなさすぎる」じゃないの?と思った人もいるかもしれません。どっちが正しいのでしょう?
「すぎる」は名詞やナ形容詞(形容動詞)イ形容詞(形容詞)の語幹、動詞のマス形(連用形)につき、その程度が大きいというマイナスのニュアンスを含む表現です。
「私のもとカレは、子どもすぎて、話にならなかったわ。でも、彼氏がいないと、暇すぎて、頭がぼけてしまいそう。ああ、それにしても、暑いわね。暑すぎるわ。ちょっと、話しすぎて、疲れちゃった。また、電話するね」
ただし、「無い(ない)」(形容詞)の場合は、次のようになります。(例外)
?「あなたは常識がなすぎる」〇「あなたは常識がなさすぎる」
cf 「いい(=よい)」は「よすぎる」
では、「ない」が助動詞の場合(「ぬ」に置き換えられたら助動詞)は、どうなるのでしょう。
知らない(動詞+助動詞・・・知らぬと言える)
「あなたは常識を知らなすぎる」
「あなたは常識を知らなさすぎる」
と、両方の形があるようです。『問題な日本語』(2004)大修館書店では、これをコラムで取り上げ、
「さ」が入るのは、助動詞「ない」と形容詞「無い」とを混同したもので、一般的には「~なすぎる」。
と、説明しています。でも、この説明じゃわかりにくいですね。確かにイ形容詞「無い」と助動詞の「知らない」は品詞は違いますが、助動詞「ない」の活用は形容詞と同じですし、また、助動詞の場合、普通、語幹は考えませんから、「知らなすぎる」と「な」でつなぐ根拠にするのはちょっと・・・。
文法を教えるときにも面倒だし、どっちも遣われているから、どっちでもいいと言うべきか、どちらか一つにするべきか・・・。規範って難しいです。細木数子は、一般的な表現を遣っているということですね。皆さんは、どちらをよく遣いますか?