「きはだ」を煮出して黄色い汁を作っています。今戸人形というと、群青色や丹色の対比に水色や緑青の色を多用する配色パターンのイメージが強いかと思いますが、時代によって同じ型の人形でも使用されていた色材が異なります。群青色が今戸で使われるようになったのが天保年間以降と言われていて、それ以前の青は藍色をベースにしたもので、朱や丹、そして植物の煮出し汁の「きはだ」と「蘇芳」(すおう)を使用していた時代もあり、手間ですが、江戸時代風の配色を意識する場合は使っています。
「蘇芳」はまだ煮出した残りがあるのですが、「きはだ」は「蘇芳」に比べると下塗りや重ね塗りに使うことが多く、使い切ってしまったので、新しく煮出しています。染色材料の店へ行けばありますが、「きはだ」だけならば、漢方薬屋さんでも入手でき、地元でも手に入ります。漢方としては黄色い煮出し汁を服用しますが、すごく苦いです。
火にかけてまだ5分くらい煮たところ、、。まだ黄色みが足りません。10分ほど煮て、蓋して数時間置いて冷ました汁を茶濾しにかけてペットボトルに移します。これが一番汁。
さらに二番煮出しをしています。まだまだ黄色い煮汁は3回以上とれます。小皿に移した汁の色はこれだときれいに発色していますが、人形の胡粉地に塗ってもはかない発色です。つなぎを入れて塗っては乾かしの繰り返しで10回くらいは重ねることになるかもしれません。
現在までのところ、拙作の人形で「きはだ」の黄色を使っているのは丸〆猫(嘉永安政風型)と「本丸〆猫」と「鞠猫」、「装束稲荷の招き狐」(古風彩色)くらいです。「一文雛」の「蘇芳の下塗り重ね塗り」にも使います。「鬼平」に使ったこともあります。黄色ですが、時間が経つと沈んだ黄金のような色になっていきます。
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