東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

今戸焼(53)焙烙(ほうろく)

2016-07-15 21:42:39 | 今戸焼(浅草 隅田川)

 

 只今東京区部ではお盆です。地域地方によっては8月だったりしますが、、。今戸焼製の焙烙をまだ採りあげたことがなかったと思います。現在でもスーパーとか仏具屋さんで際物として取り扱っていますが、今戸焼製のものは現実的には葛飾区青戸の内山さんと同じく葛飾区四つ木の橋本さん製をもって生産に幕が閉じられてしまったので、まずスーパーや仏具屋さん荒物屋さんからは姿を消してしまっています。現在スーパーで流通しているものは今戸焼の焙烙とは形態の異なるものです。常滑など中京製のものが東京に今日流通しているケースも見られますが、他に国外産の輸入ものなども出回っているのかどうか、、、。

 地域によって使わないところもあるのかわかりませんが、東京の下町地域では必需品でした。お盆の迎え火送り火でおがら(蓮の茎の乾燥させたもの)を焚くときの受け皿として使います。送り火のときにはマコモ馬もこの上で焚き上げます。

 昔の人はお盆以外にも七輪に焙烙をかけて節分の豆を煎ったり、またお寺で焙烙灸といって頭に焙烙を被ってその上からお灸を焚くという行事もあるようですね。小石川のお閻魔さまの焙烙灸は全国的にも有名かもしれません。

 あと料理屋さんなどで焙烙焼きといって焙烙の上で鯛や海老を塩焼きにして出すというのをTVCMで見たことがありますがあれは関西方面のCMだったか、、?

 少なくとも東京のお盆では馴染みのあるものです。画像の焙烙左上のは葛飾区四つ木の橋本さん製、右下のは葛飾区青戸の内山さん製だと思います。土の焼き色が微妙に違いますね。共通しているのは形態で、今戸焼の焙烙は口縁近くが耳たぶのように厚みがあります。

 常滑製では口縁のはもっと薄くて直角に立ち上がっていたりすると思います。このブログでも何度もとりあげている旧・今戸八幡に今戸焼屋たちによって奉納された狛犬には「火鉢屋」と「焙烙屋」という区分けが記されていて、火鉢と並んで焙烙が今戸焼の主要な製品であったことが偲ばれます。

 

 結局のところ先述の葛飾の今戸焼屋さんのおふたりを最後に今戸焼の焙烙は廃れてしまいました。しかもこのおふたりによる焙烙も植木鉢も地元の土を材料として作られていたわけで、よく遣う言葉として「江戸前」といいますが、本当の最後の江戸前だったわけです。廃れてしまってから残念がっても始まらないことですが、これも最後の今戸焼だったと言わねばなりません。

あ、そういえば歌舞伎の舞台でも焙烙を使う場面がありますね。「寺子屋」の終盤「いろは送り」で角火を焚くところ。それと「四谷怪談」の「蛇山庵室」でも確か、、?(記憶違いだったかな?)焙烙に限らず、歌舞伎の舞台上で今戸焼で作られた小道具があったものですが、最近では使われなくなったと聞いてます。何でも昔のように注文通りに作れなくなったので発注しなくなったとか、、。


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