東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

裃雛(ドガミシモ)

2019-02-20 03:10:56 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 未だ摩利支天が完成していないところ急がなければならないものがいくつかあり、なかでもしまってあった割型を探し出して型抜きしているのが裃雛の一対。今戸の土人形の中でたくさん作られたであろうベスト3のひとつ。(稲荷の狐と恵比寿大黒とならんで)

 画像の型は十数年前に型を起こしたもので何度か型抜きして作ったものの、まだ更に練り直す必要を感じていて最近あまり作らなかったものですが、昨年の丸の内丸善オアゾでの「みそろぎ人形展」の会場へ自分も籍を置いている日本人形玩具学会の会員の方で郷土雛を専門に蒐集されている方がおいでになって作って欲しいということで、まだ決定版ではないという説明の上、それでもご希望ということなので今型抜きしているというところです。お宅のほうでは、これまでお集めになられた雛を飾っているのでその間にうちの裃雛も一緒に並べてみたいとのこと。

古い川柳に「村の嫁 今戸の土偶で ひなまつり」(柳多留)とあるのは、この裃雛のことだと思われます。かなり作られたようで、都内の近世遺跡から出土する色のとれた土人形に大抵混ざっている。下総や上総方面へ大量に売られていたようで、それが後に、千葉県の芝原人形や飯岡人形の手本となったという話もあります。大量に、また長年にわたって作られていたようなので、一見同じように見えて顔や着物の部分に少しずつ違いのある型が存在します。画像の型は明治時代の型が甘くなっている人形を手本に作ったものなので群青色と赤系統で塗りわけていくことになります。江戸時代の配色もやってみたいのですが、明治風の形にはそぐわないと思うので、型を別に作ってから、と考えています。

 この裃雛の女雛は、「姉様」とも呼ばれていて、地口などにも記されています。