東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

干支の亥(猪)づくり③ 「仁田四郎」(彩色)

2018-10-08 13:46:18 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 あさって10月10日(水)より丸ノ内丸善オアゾ内にて「みそろぎ人形展」が開催されます。それに向けて明日搬入作業です。

今年は昨年までの催事お納め等の流れとは違っているので、準備の見通しも昨年とは変えて進めてきたつもりですが諸事情が重なり前回と比べて手際よくできなかったという心境です。その中で今年起こした「仁田四郎」は少しですがとりあえず塗り上げて搬入できそうです。今戸人形の古典には猪の型のものがほとんど確認できないので仕方なく創作だったり、他の産地の猪を参考にしながら作っています。(昔は今のように毎年の干支を集めて飾るという風習はなかったのではないでしょうか、、。少なくとも今戸では、、。)

 「仁田四郎」は名古屋の野田末吉さんのお作りになられた人形を所蔵されていらっしゃる方に写真に撮らせていただいた画像を参考にモデリングして、面描きや彩色は尾張屋春吉翁(江戸から伝承が続いた最後の生粋の今戸人形製作者 明治元年~昭和19年)のお作りになった「虎加藤」のイメージで進めたいと思っていました。面描きは「虎加藤」を意識したようには見えませんか?装束の配色については現在でも執り行われる「流鏑馬」の装束をヒントに、吉徳資料室にいらした林直輝さんにいろいろ伺いながら、色の映えを考えたつもりなんですが、、、。(有職人形ではないのであくまで「らしく」見えることを気にしていました。

 猪の茶系の地色の上に毛並みの線描きを入れる作者さんが多く、バランス的に手を入れたほうが安定感があるのですが、「今戸風」というものを意識するとざっくりしていたほうがいいかと思い、説明的にしないようにしました。それと相反するのですが、袴の前垂れの鹿毛と猪の毛の差を出すのに困って、このようになってしまいました。

 頭に被っている「綾井笠」は名古屋の野田さんバージョンだととんがり帽子風なのですが、型抜きの難しさもあり微妙に変えてみました。

 虎加藤同様、彩色がしんどいです。そんなわけでたくさん焼いてありますが今回「みそろぎ展」に間に合うのはわずかです。

これから荷造り準備をします。無事搬入できたらたくさん寝たいのと銭湯へ行きたいです。