東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

擦り込み

2018-03-04 05:57:27 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 山形へ出かける以前に型抜きして乾燥させていたものの2軍を昨夜素焼きを済ませ、胡粉の地塗りをして、下地をつくります。人形によっては胡粉地を残すもの、キラ(雲母粉)を塗ったパール状の地にするものと区別して準備しておきます。胡粉地、キラ地ともに乾燥して準備できたところで目元に朱や丹を水溶きせず粉の状態で擦り込み刷毛で薄くぼかしを入れます。全国に残っているそれぞれの土人形産地によって目元に赤みをさして温かみを出すやり方があり、今戸の場合、「玩具聚図」という天保3年に記された人形玩具の配色手本帖が浅草橋の吉徳さんに残されており、配色の指定として目の周りや白地の動物の体部分を朱とか丹にするという具体的な指示が記されています。

 「招き猫の火入れ」の白目部分に黄色をさす前に目の周りに朱を擦りこみます。

 人物の場合も面描きする前に目の周りに朱を擦りこんでおきます。画像の「猫抱きおかめ」の左うしろに見える「座猫」の腰の辺りにも擦りこんでありますが、これが上記「玩具聚図」の指定に倣ったものです。

 擦りこむことで温かみを出すのは例えば関東の目なしだるまの白目の周りも施されていますし、張り子の招き猫などにもされています。多摩系統のだるま屋さんが作る張り子の招き猫はかなり擦りこまれています。

 猫や犬などはこのあと白目の黄色や水色を置いて、瞳を入れていきます。