東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

捻り人形「招き河童」

2014-07-03 22:13:11 | 今戸人形(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010897 まだ仕事が済んだわけではないのですが、久しぶりに昔の人形の作例をご紹介したいと思います。画像ぼけぼけで済みません。

 とても小さなもので高さ2.5センチくらいでしょうか。残念なことに招く手先が損じていますが、私にとっては形があるだけでも十分な資料です。

損じている部分から覗く土色は江戸の赤い土ではなくて白っぽいものです。しかし、浅草辺りで鬻がれていたものと言ってよいでしょう。

 今戸人形の範疇に入るかどうかというところで断言できませんが、東京で作られたものと考えて間違いないでしょう。

損じているほうの手はあきらかに別作りで作って接合したもので「捻りの人形」「小捻(しょうねん)」という類のものと考えてよいでしょう。

戦前の有坂与太郎の著作等では「小捻」の作者の系譜には江戸東京系と関西系とがあったようです。

昨年の暮れにお亡くなりになられた捻り人形の名人葛飾の「杉立命光」さんと立話とさせていただいたことがありますが、杉立さんは遡ると京都の系統の流れを汲むのだと仰っていました。また、杉立さんはご自分の捻りの細工に使用する土は「本山木節粘土」(もとやまきぶしねんど)だと仰っていました。木節粘土はキメが細かく、粘りがあり、収縮も少ないので人形に向くのだそうです。

 画像の河童は木節粘土かどうかわかりませんが、関東の土ではなくてキメの細かい中京、関西の土と言って間違いはないのではないでしょうか。

古い尾張屋さん(江戸明治からの伝統を伝えていた最後の正当的な今戸人形屋さんで昭和19年に亡くなられた)の河童の人形の型では愛嬌のある可愛い表情のものがありますが、この人形は妖気のある、ちょっとおっかない顔ですね。そもそも河童は妖怪のひとつでもあり、滑稽な伝説もあれば、恐ろしい行いもしていたようなので、こんな表情のが本来なのかもしれませんね。

使用されている色は尾張屋さんの「藍色」とも、戦後人形製作を始められた白井さん(人形作りの古い伝承はない)の「澱んだ緑色」とも異なる草色がかった色ですが頭髪に「べんがら」の茶を置く辺り、やはり今戸に近しい感じがします。
河童が招く動作は画像の人形に限らず、一文人形にも招く河童があるのでパターンとして確立していたのかもしれません。

それにしても「招き猫」に限らず「招き狸」「招き狐」あり「招き河童」ありと、今戸焼の土人形には古くから招くパターンというものがあったというのは楽しいと思います。

古い今戸焼の河童の土人形の作例としてご参考まで

尾張屋春吉翁作 「客引き河童」→

尾張屋春吉翁作 「河童の火入れ」→

尾張屋春吉翁作 「娘河童」→

 

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