おはようございます。震災対策のための「復興構想会議」が昨日開かれましたが、具体的な提言作成は5月中旬からだそうです。のんびりしたものです。被災地の人々のことを考えれば、連日、徹夜で議論してでも作成する義務があるはずです。
生き生き箕面通信869(110424)をお届けします。
・読売新聞がそろり「原発推進」紙面を再開
本日の読売新聞の社説は、見出しが「原発政策で比重増す安全論議」でした。内容は「原発は安全性を高める必要があり、国際的な安全基準作りが急務だ」というものです。つまり、「原発の安全性を高めるなら、原発は有用だ」という主張です。本日の段階では、まだ遠慮して明確に打ち出してはいませんが、社説の狙いが「脱原発」への世論の傾きを食い止め、「原発は推進すべきである」という方向へ向けさせるところにあるのは明白です。
本日の社説をもう少し詳しく見ると、まずドイツやイタリアの「脱原発」の動きを取り上げつつ、しかし「ドイツでは、電気料金の高騰による産業競争力の低下や家計の負担増を懸念する声が早くも上がっている」と、脱原発をけん制。返す刀で、「事故後も、原発政策を変えない国は厳然としてある」と、がぜん勢いがよくなります。
ここからがこの社説の本論なのです。「オバマ米大統領は先月30日の講演で、2035年までに電力の8割を温室効果ガスを排出しない資源で生み出す方針を表明し、『原子力はその大きな柱』と語った」と、あたかも原発へのお墨付きを得たような筆の運びです。また、「フランスは既存原発の安全性を再確認する必要性は認めたが、推進方針は変えない」と指摘。さらに、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国(BRICS)の首脳も今月14日、『原発増設は不可避』との認識を示した」と、「原発推推進こそ世界の流れ」という論法です。
読売新聞は戦後一貫して「原発推進」の論陣を張ってきました。もともと日本に原発を持ち込んだのが、当時、読売新聞社主の正力松太郎氏でした。正力氏は原子力委員会の初代委員長を務め、のちに「日本の原子力の父」と呼ばれることになりました。
その陰には、アメリカの思惑がありました。ソ連との冷戦に勝ち抜くため、当時のアイゼンハワー米大統領は「原子力の平和利用」を唱え、日本にも積極的に原子力関連の技術を与える政策を取りました。原爆を落とされた国が原子力の利用を採用すれば、世界的な戦略として大きな意味があったのです。
これを受けて、CIAとも手をつなぎ積極的に動いたのが、正力氏だったのです。日本ではヒロシマ・ナガサキの記憶も新しく「原子力アレルギー」が今とは比較にならないくらいに強い時代でしたから、いくら「平和利用」とはいえ、原発導入は困難を極めました。しかし、日本のエネルギー問題の解決は、国家の存立上、欠かせないものでした。このエネルギー問題が原因のひとつとなって、先の大戦を起こすことになりました。
エネルギー問題の切り札と考えた正力氏は、中曽根康弘氏(元首相)と組んで、原子力関連の議員立法を成立させ、推進しました。この陰で、CIAが大きな力を発揮したいきさつは、アメリカの国立第2公文書館に所蔵されている「CIA機密文書」から早稲田大学の有馬哲夫教授(メディア研究)が発掘した資料で詳細に明らかにされています。その中で、正力氏がCIAから「ポダム」の暗号名がつけられているほどの密接な関係だったことも指摘されています。
共同通信が昨日配信した同社の世論調査では、原発関連の道県・市町村46自治体のうち、「即刻廃炉」と答えたのは、福島県南相馬市と浪江町の二つだけ。あとは「国民や政府の議論を待って判断する」と、慎重というか、腰が引けた状態です。
自然エネルギーへの転換、再生可能エネルギー社会を建設しようという運動は、まだ力は弱い。他方、「原発」の巨大な利権と蜜の味が大切な原発推進勢力は、政・官・業・学にメディアを含めよみがえる時機を虎視たんたんとねらっています。
生き生き箕面通信869(110424)をお届けします。
・読売新聞がそろり「原発推進」紙面を再開
本日の読売新聞の社説は、見出しが「原発政策で比重増す安全論議」でした。内容は「原発は安全性を高める必要があり、国際的な安全基準作りが急務だ」というものです。つまり、「原発の安全性を高めるなら、原発は有用だ」という主張です。本日の段階では、まだ遠慮して明確に打ち出してはいませんが、社説の狙いが「脱原発」への世論の傾きを食い止め、「原発は推進すべきである」という方向へ向けさせるところにあるのは明白です。
本日の社説をもう少し詳しく見ると、まずドイツやイタリアの「脱原発」の動きを取り上げつつ、しかし「ドイツでは、電気料金の高騰による産業競争力の低下や家計の負担増を懸念する声が早くも上がっている」と、脱原発をけん制。返す刀で、「事故後も、原発政策を変えない国は厳然としてある」と、がぜん勢いがよくなります。
ここからがこの社説の本論なのです。「オバマ米大統領は先月30日の講演で、2035年までに電力の8割を温室効果ガスを排出しない資源で生み出す方針を表明し、『原子力はその大きな柱』と語った」と、あたかも原発へのお墨付きを得たような筆の運びです。また、「フランスは既存原発の安全性を再確認する必要性は認めたが、推進方針は変えない」と指摘。さらに、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5か国(BRICS)の首脳も今月14日、『原発増設は不可避』との認識を示した」と、「原発推推進こそ世界の流れ」という論法です。
読売新聞は戦後一貫して「原発推進」の論陣を張ってきました。もともと日本に原発を持ち込んだのが、当時、読売新聞社主の正力松太郎氏でした。正力氏は原子力委員会の初代委員長を務め、のちに「日本の原子力の父」と呼ばれることになりました。
その陰には、アメリカの思惑がありました。ソ連との冷戦に勝ち抜くため、当時のアイゼンハワー米大統領は「原子力の平和利用」を唱え、日本にも積極的に原子力関連の技術を与える政策を取りました。原爆を落とされた国が原子力の利用を採用すれば、世界的な戦略として大きな意味があったのです。
これを受けて、CIAとも手をつなぎ積極的に動いたのが、正力氏だったのです。日本ではヒロシマ・ナガサキの記憶も新しく「原子力アレルギー」が今とは比較にならないくらいに強い時代でしたから、いくら「平和利用」とはいえ、原発導入は困難を極めました。しかし、日本のエネルギー問題の解決は、国家の存立上、欠かせないものでした。このエネルギー問題が原因のひとつとなって、先の大戦を起こすことになりました。
エネルギー問題の切り札と考えた正力氏は、中曽根康弘氏(元首相)と組んで、原子力関連の議員立法を成立させ、推進しました。この陰で、CIAが大きな力を発揮したいきさつは、アメリカの国立第2公文書館に所蔵されている「CIA機密文書」から早稲田大学の有馬哲夫教授(メディア研究)が発掘した資料で詳細に明らかにされています。その中で、正力氏がCIAから「ポダム」の暗号名がつけられているほどの密接な関係だったことも指摘されています。
共同通信が昨日配信した同社の世論調査では、原発関連の道県・市町村46自治体のうち、「即刻廃炉」と答えたのは、福島県南相馬市と浪江町の二つだけ。あとは「国民や政府の議論を待って判断する」と、慎重というか、腰が引けた状態です。
自然エネルギーへの転換、再生可能エネルギー社会を建設しようという運動は、まだ力は弱い。他方、「原発」の巨大な利権と蜜の味が大切な原発推進勢力は、政・官・業・学にメディアを含めよみがえる時機を虎視たんたんとねらっています。