生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信871 ・統一地方選に見る原発”札束でひっぱたいてきた”の勝利

2011-04-26 06:21:31 | 日記
おはようございます。本日は「原発史上最悪」といわれたチェルノブイリ原発事故から25年の日です。いまも放射性物質が出続けており、老朽化した石棺の追加工事に約10憶ドル(約8200憶円)が見積もられているそうです。
生き生き箕面通信871(110426)をお届けします。

・統一地方選に見る原発”札束でひっぱたいてきた”の勝利

 福島原発事故の対策に世界の目がそそがれるなかで行われた統一地方選は、前半選、後半戦を通じて「原発勢力が札束で地元のほっぺたをひっぱたいてきた」実績が”見事に”花開いた結果となりました。

 近畿の原発銀座を抱える福井県は前半戦の知事選で、原発推進の西川一誠氏(自民、公明推薦)が多選批判をもはねのけ、5選を果たしました。西川氏は選挙戦では「国や電力事業者に原発の安全対策の徹底を求める」と訴えて、支持を集めました。

 後半戦で注目されたのは、東電の柏崎刈羽原発が立地する柏崎市議選と刈羽村議選でした。結果は、原発への逆風の中ながら東電労組が立てた新人が3位で当選したのをはじめ原発推進・容認派が健闘し、両議会で改選前の勢力を維持しました。反対派は、両議会でそれぞれ1議席を減らしました。つまり、有権者は「原発との共存」を選んだわけです。

 東京都知事選は、原発問題はほとんど焦点にならず、東国原氏らの候補者も慎重な言い回しに終始し、明確に原発反対を打ち出したのは実質的に共産党候補だった小池氏だけ。石原氏は、信念として「原発必要論」であり、問われれば「原発がなければ、日本はやっていけない」と公言してはばかるところがないのは、よく知られています。東京都民は、その石原氏を圧倒的に支持しました。

 原発が立地する地元は、じゃぶじゃぶといっていいほどの金銭がばらまかれさまざまな恩恵にあずかってきました。「札束でほっぺたをひっぱいて賛成を得る」札束作戦が繰り広げられてきたことは、周知の事実です。産業の少ない地方にあっては、原発で雇用が生まれることも大きな魅力でした。
いまや、地元はその原発交付金が自治体予算のなかにどっしりと組みこまれ、それなくして予算編成は考えられない状態になっています。だから新しい原発を受け入れなければ交付金が減るので、次々に増設を受け入れるという構造になっています。

 原発論議は、「原発の安全性を高める」というところに落ち着き始めました。

 「原発是か非か」あるいは「日本のエネルギー政策はどうあるべきか」という根本に立ち返った議論は盛り上がりに欠け、「脱原発」の空気は急速に弱まりつつあるようです。原発ムラを構成する政府、官僚、産業界、学会、そしてマスメディアが、「やはり原発がなければ、立ちいかない」という、いわゆる「現実論」はほとんど揺るいでいないように見えます。

 今後、勢いを増すと思われるのは、「ベスト・ミックス論」です。原発と化石燃料、自然エネルギーとのバランスを取った組み合わせでやっていこうという立場です。逆風のいまは、ともかく原発を生き延びさせ、折を見て息を吹き返せばいいという思惑もあります。事実、関西電力の社長は、原発の増設を積極的に進める方針を明言しています。

 政権与党の民主党も、温暖化防止のための温暖化ガス25%削減の切り札は原発依存です。自民党はもちろん原発を推進してきました。

 原発の寿命は長くても50年です。最も新しい原発でも50年後には廃炉にせざるを得ないものです。日本中はもちろん、世界中に廃炉がゴロゴロ。そしてその廃炉の処理方法は未解決のままです。半減期が半永久的といえるほど長い高レベル放射能を安全に処理する方法はいまだに確立されていません。だから、私たちは次に世代に、始末できない高レベル放射能廃棄物を「負の遺産」として残すわけです。次世代以降に負担を押し付けて、今生きる私たちは電気を享受するという構図なのです。