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生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信847 ・国民に牙をむく「復興構想会議」――オール・ジャパンの美名のもとに

2011-04-02 06:57:42 | 日記
おはようございます。災害復興を名目におかしな動きがうごめき始めました。ばっこする「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」。
生き生き箕面通信847(110402)をお届けします。

・国民に牙をむく「復興構想会議」――オールジャパンの美名のもとに

 菅首相は昨日4月1日の記者会見で、「震災から1か月目の11日にも、『復興構想会議』を発足させる」と表明しました。復興計画をつくり、そのための財源を確保して実現する総合司令塔の役割を果たさせようとするものです。

 東日本の復興・再生のためには、大がかりな体制が必要であることはだれしも認めることです。迅速に実行に移してもらいたいところです。

 しかし、菅首相が打ち出した構想の裏には、うさんくさい狙いが隠されています。かねてからの狙いであった増税案を、この際「復興税」という名目で一気に実現しようとしています。

 もちろん、大がかりな復興事業を進めるために巨額の財源が要することは、ほとんど異論のないところでしょう。しかし、具体的な復興案が策定される前から、増税構想が全面に出てくることが不信感を招くのです。本来、実現しようとする計画をまとめ、それを実現するための概算金額が算定されてから、さまざまな知恵を絞って財源確保に努め、そのうえでこれだけ足りませんから、増税させてください、というのが順序というものです。

 「復興構想会議」の陰で進むもう一つの懸念は、「政・官・産複合体」の立ち上がりです。メディアでも、無批判に「復興は『オール・ジャパン』の体制で」(毎日新聞)とお先棒担ぎがはじまりました。

 日本の「政・官・産複合体」には、二つの前例があります。ひとつは、無謀な戦争に突っ込んでいったときの「大政翼賛会」体制です。これは文字通り総力戦を闘うために「政・官・産一体体制」ばかりでなく、学者も文化人もメディアもすべて巻き込んだ体制でした。そして、そのあげくに破たんして、悲惨な状態を招いたのでした。

 もうひとつは、戦後の経済復興のなかで築いた「日本株式会社」方式です。これは、見事に結実し、日本を「福祉国家」として立ち直らせ、再生することに成功しました。

 実は、あまりの成功が、アメリカの産業破壊をもたらし、自動車のGMやクライスラー、フォードまでやっつけてしまったために、アメリカが反撃に転じ、「日本株式会社」体制を崩壊させようとしてきたのが、日米構造協議による「市場原理主義」の押し付けでした。

 ついでに申し上げれば、アメリカの「軍産複合体」はウオール街の市場原理主義者と結び付いて、いまや化け物と化し、オバマさんには大統領職をもってしても制御不能のところまでいきついてしまいました。とくにそれが顕著になったのは、クリントン大統領の時代で、その後を引き継いだブッシュ息子大統領がさらに促進したのです。アメリカがイラク、アフガニスタンで無用の戦争を始めて、アメリカ自体が「ならず者国家」にまで変貌したのでした。

 それはともかく、日本も未曽有の災害復興をきっかけに、「大連立」へ進み、かねて財務省が狙っていた「増税路線」が推し進められようとしています。

 菅首相には、財務省の増税を実現することと引き換えに財務省のバックアップを受ける「首相延命」との取り引きです。財務省にとっても菅首相は使いやすい「総理大臣」となりました。財界団体を全面に押し立てる産業界も「政・官・産」のオール・ジャパン体制は大歓迎です。国民からむしりとりつつ、自分たちの力を発揮できると見込んでいるからです。

 「復興構想会議」は、やさしい羊の皮をかぶりながら国民に牙をむくオオカミになりそうです。