伊勢すずめのすずろある記

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秋晴れの「文化の日」、Y氏に誘われて「石の採集」

2013年11月05日 | 伊勢志摩~奥伊勢のフィールド・ワーク
Opal

 伊勢神宮の御遷宮も終わり、神無月が過ぎて早や霜月となった。伊勢市のメイン道路は、例年になく観光バスが多い事を除けば、あとは街路樹の紅葉が遅れているぐらいである。11月3日(日)の文化の日は、前日の雨もすっかり上がり、晴天に恵まれ絶好の行楽日和となった。各地で文化祭など、秋のイベントがたけなわである。 外宮から内宮に至る御幸道路も、普段のままであるが、午後は恒例の大学駅伝の為、一時的に交通規制が敷かれ、昼前には各交叉点など沿道のあちこちに警察官が立ちはじめた。 この三連休なか日の文化の日に、気晴らしにと午後の外出を考えていた処、鉱物に関心を寄せるY氏から誘いの電話があった。午前中に所用を片付けて、午後1時に彼のランクルに便乗させてもらい、南伊勢町の採石場へ向かった。 
 夏以降、もっぱら水石の探石に明け暮れていただけに、鉱物採集は久しぶりである。宮川の右岸を一路旧南島町へと走る。 典型的なリアス式海岸線が続き、各湾奥にひと塊の漁村の点在するこの町も、今は交通至便となり、海岸沿いの国道もずいぶん立派になっている。 東宮と神前浦の間の海岸近くに、主に庭石や割栗石を切り出している大きな採石場(二つの事業所)があり、赤鉄鉱やマンガン鉱、黄鉄鉱、菱鉄鉱、珪ニッケル鉱などの金属鉱物が、赤盤化した泥質岩(泥板岩、頁岩、粘板岩)や輝緑凝灰岩、チャートに伴って産出する。他に緑泥石や緑簾石、曹長石、方解石、それに玉髄・蛋白石や苦灰石などの小脈もみられ、晶腺には微細な水晶も晶出している。 
 明治期に出された「三重県�縉物誌」によれば、採石場のある当地一帯は「赤間石」(あかまいし。山口県産)に似た硯石用石材の著名な産地であり、鳥羽市河内町七石(しちし)付近と共に、その当時、試・採掘も成されている。Hakukairi_siunseki だだっ広いこの採石場には、建築資材の割栗石やバラストが山積みされているが、その中に紫雲石や五色石等の水石母材も混在している。色彩石や紋様石は研磨が大変であるが、ここの母材をカットして磨き上げれば立派な鑑賞石となり、高級感のある名石として通用するのは確かだ。 
 一時間ばかりぶらついた後、Y氏の提案に従い、五ヶ所から磯部(志摩市)へ周り、開通したばかりの第二伊勢道路を経由して帰路についたが、途中、トンネル間の道路沿いにある埋め立てスペースに停車し、「鳥羽河内トンネル」の廃石中の鉱物を対象に、採集を試みた。
Dai_2_isedouro_04 ここは角閃岩や蛇紋岩、斑糲岩、輝緑凝灰岩、チャートなどが盛り土となって谷地を埋め、小広い平地となっているが、地ならししただけの地面には岩石がむき出しのままで、白木に見るようなソーダ沸石や葡萄石を含む、珪酸塩-炭酸塩より成る白色鉱物の複合小脈も見られる。 
 その他、角閃岩に鉱染する微細な黄鉄鉱の結晶粒や、緑簾石脈に伴う1mm程度の黄鉄鉱の自形結晶粒が、西空の太陽光線を受けてきらびやかに輝いている。磁鉄鉱や赤鉄鉱も散らばっており、磁鉄鉱を含むバラストは磁石によくくっつく。
Pyrite
 先月、ここの鉱物はチェック済みであったのと、夕刻が近づいたので30分ほどで切り上げたが、野外に出ての鉱物採集は、採れても採れなくても趣味者にとっては格別な楽しみである。 この日の採集物は、掲載写真のとおりである。




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