師走に入って瞬く間もなく、クリスマスが過ぎ、本年も早や年末となった。 今年の晩秋から初冬にかけては、例年に比べて寒暖の差が激しい日々が繰り返し、特に朝夕の冷え込みは体に堪えた。 今年を振り返ると、全くフィールドには出ずじまいで、鉱物採集は数年来0回が続いている。 趣味の水石の探石も、晩秋に一度だけ五十鈴川に立ち寄ったきりで、これはと言った名石を全く揚石をしていない事に気づいた。
このままでは年を越せないと思い、今年最後の日曜日 ( 12月25日 )のクリスマスの日に、昼前になって冷たい雪風の中を、一番の近場である横輪川とその支流の雨淵川の合流地点の川原に出向いた。 日差しはあるものの、伊勢市にも積雪をもたらせた前日の寒波の影響で、底冷えを覚える程の寒気流が川風となって肌身に染入った。
ここは、横輪川が宮川に合流する河口から1kmばかり先の川上で、川の両岸には県道の馬渕橋から車の走れる土手道が通じている。 自宅からは約8kmの距離で、車で15分程で付く。 一見しただけでは、大した水石などありそうもない広域変成岩地帯の川原であるが、穿入蛇行する横輪川が、上野町から円座町にかけて分布する蛇紋岩体の丘陵地を穿って流下しているので、川床の岩盤由来の方解石脈に富む現地性の蛇紋岩の転石が、上流から流下して来た古生層の堆積岩類や緑色の変成岩 ( 主に角閃岩 ) に入り混じり散乱している。 目的の川原は、車横着けの土手道の真下であり、運が良ければつかの間に、降りた先で感じの良い 方解石脈や曹長石脈の 「滝石」 が見つかるし、奇抜な形状の 「朝熊石」 の類似礫 も拾える。 ここのメインは、白花模様など、残存曹長石脈の呈する様々な「紋様石」である。
鉱物採集にターゲットをおけば、当地では各種の蛇紋石の他、異剥石、滑石、石綿、方解石、曹長石、緑簾石、黄鉄鉱、武石、石英、鉄石英、含マンガン赤鉄鉱、二酸化マンガン鉱、珪ニッケル鉱、磁鉄鉱などが採集できる。 当地の横輪川は、冬場は干上がっている事が多いので採集はたやすいが、川風の通り道ゆえに寒さ対策をして出かけねばならない。
この日は、冷たい北西風に晒されながら、全川原の3分の1程度を見回っただけで、体のケアから年に一度となった 「探石」 を早々と切り上げた。 それでも1時間がとっくに過ぎており、布製の手提げバケツには、拾い上げた転石が幾つか収まっていた。 少し手を加えれば、いずれも鑑賞に値するレベルのちょっとした名石である。
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