伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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  感性の趣くままに-。

初夏を前に、久しぶりに小萩川に出向く

2020年05月29日 | 伊勢志摩~奥伊勢のフィールド・ワーク


出合橋から少し入った先の 「小萩川の風景」


 5月も早や月末となった。 ここ2~3日は、初夏の訪れを思わせる程のカラッとした好天が続いている。 世界的なコロナウイルスの蔓延によって、全国に出されていた「緊急事態宣言」 が全面的に回避されて、1週間が経った。
 幸い伊勢市は、4月24日に1人の感染者 ( 三重県内では45例中の44例目 ) を出しただけで、その後は皆無である。
 伊勢市を取りまく大気中から、コロナウイルスが全く無くなった訳では無いが、感染確率は人口約10万人の伊勢市では、概ね10万分の1である。


道22号線から小萩への分岐路にある 「出合橋のバス停」


 今春以来、ずっと閉じ籠り勝ちだったので、朝からマスク姿で久しぶりに郊外にドライブを試みた。 宮川右岸の県道22号線を南下するいつものコースであるが、この日も度会町の川口まで走り、そこから一之瀬川左岸沿いの県道を栗原、日向、火打石、駒ケ野を通過して、川口から7.5 km ほど先の小萩への分岐路にある 「出合橋」 のバス亭まで行き、とにかく小萩へと右折した。


小萩のはずれにある墓地より続く「林道の入口」


 この先は、小萩の村落を通過する道路を2km ほど走ると、人家や棚田の跡地が無くなり、在所はずれの墓地の所から先は、獅子ヶ岳越えの林道 「麻加江-小萩線」 が小萩川左岸沿いに続く。 普通車一台が通れる程度の狭い林道であるが、ほぼ全線仮舗装が成されている。
 すぐ先の陽光を遮る山林に入ると、左手に見おろす小萩川も川幅が狭まり、V字谷を成す渓流へと変わる。
 この辺りから1km ほど先の谷間に架かる小橋のあたりまでが絶好の探石地で、渓流と共に周囲の山林斜面や小谷も見逃せない。


小萩の村落手前の 「小萩川」


林道を少し入った先の 「小萩川の渓流」


林道奥の第二堰堤下の「小萩川渓流の石溜り」


上載写真の 「堰堤のアップ」


 伊勢古谷石や紫雲石、龍眼石、石灰岩質の五色石等に混じり、小萩川特有の緑色准片岩 ( 仮名 「小萩青石」 ) や石灰質准片岩 ( 仮名 「小萩縞帯石」 ) が多産し、これまでに山水景に富む遠山石や滝石、段石の他、縞帯模様の色彩石や多彩な紋様を呈する名石が多数揚石されてる。
この日に揚石をした 「小萩青石の奇抜な転石」

この日に揚石をした 「小萩縞帯石の小物水石」

 特に小萩川には、貫入した方解石脈の溶食による、白い筋脈入りの転石が数多く見られ、時には見事な滝石に出くわす事がある。
 この他、渓流沿いには石灰岩の小規模なカルスト地帯があって、溶食による奇形石灰岩などの転石も入り混じっている。

この日に揚石をした 「小萩青石の標準サイズの滝石」


この日に揚石をした 「小萩青石の小物滝石」


この日に揚石をした 「赤石系珪質岩の小物滝石」


 この日は5箇所ほど渓流に下り、小規模な川原や石溜りを半日かけて探石してみた。 見どころのある小物水石等を幾つか揚石して来たので、本稿で紹介する次第である。

この日に揚石をした 「手のひら大の紫雲石の転石」

この日に揚石をした 「溶食された石灰岩の転石」


この日に拾い集めた 「良質の砥石にもなる青色粘板岩」


 久しぶりの郊外へのドライブは、新緑に萌える初夏の山々を見上げ、清かな水流に素足を浸し、爽やかな林間の気流に晒されながら、ほんのいっ時ではあったが山水の懐に身を委ね、沈滞ぎみだった昨今の日常生活を離れる事が出来た。
 この日の探石は、佳石を幾つか得た事もあり、心身にとって実にいい気晴らしとなった。


以前に小萩川で揚石をした 「溶食石灰岩の標準サイズの水石」の風景

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