伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
 伊勢の山々から志摩の海までの、自然史スポット&とっておき情報など…。
  感性の趣くままに-。

「 志摩 」 に関係する稀覯本

2020年06月28日 | 志摩


昭和28年 ~ 昭和30年に発行された 「伊勢志摩」の観光案内書

 風光明媚な海景の、伊勢志摩国立公園のメインである 「志摩地方」 は、今でこそ数多くの観光ガイド書があり、いずれもきれいなカラー写真で解説をしているが、この有湾台地のグリーンとリアス式海岸のブルーが織り成す、当地方の類希な自然美が 「国立公園」 に指定されたのは、戦後間もない昭和21年である。


昭和4年 志摩國史研究會発行の稀覯本「志摩巡り」


 それまでは、志摩電鉄が鳥羽から内陸を通り、古くは 「徒越島」 ( かちごえじま ) と呼んでいた 「賢島」 へと通じてはいたものの、戦前から終戦後間もない頃にかけて、安乗岬から大王崎方面や、先島 ( さきしま )と呼んでいた今の志摩町に点在する漁村等へ、陸路で行くには、僅かな本数のボンネット・バスが未舗装の道路を長時間走り、まさに交通不便な 「陸の孤島」 であった。
 幼少の頃に、家族や親戚の人達に連れられ、磯部町の穴川から巡航船に乗せられて、波切まで行ったような記憶がある。
 その後は、高校時代に志摩町の和具まで行くのに、賢島からやはり巡航船を利用して、英虞湾を横断した事を覚えている。


明治期の「志摩國」の古地図

明治初期頃の簡素な古地図「志摩國」


 志摩地方は、かつては交通不便な素朴な程の僻地であったが、今では舗装道路が四方八方に整備され、沿岸の防波堤や漁港の突堤も立派になっている。
 この志摩地方の海景以外の魅力は、何と言っても 「真珠の養殖」 と 「海女漁」 である。 それに加え、それぞれの村落 (漁村) 特有の風習や生活様式など、稀有な民俗文化が残されている事である。


左より昭和11年・昭和47年・昭和26年発行の「志摩の稀覯本」3冊


 志摩地方の海女の生活や村落独特の民俗等については、明治期よりかなり詳細な調査が成され、数々の資料書があるはずであるが、一般には殆ど知られていない。 観光ガイド書にも少しは紹介されているが、志摩市の図書館などにある郷土誌・史等も、昔の古いものは少なく、明治期以降の資料書としての 「稀覯本」 となると、ごく僅かである。

明治16年・精心社発行の和本「志摩國舊地考」(上・下)


 人文・社会・民俗学関係の資料書以外は、殆どが郷土誌・史に簡単に書かれているぐらいであり、自然科学分野の学術書となると、皆無と言ってよい程である。
 特に、小学校時代の我が恩師、孫福 正 先生の著述書 「志摩の植物」 は、志摩地方の自然科学分野の学術資料書の第一号であろう … 。


昭和8年発行・孫福 正 著(私家版書籍) 「志摩の植物」

1965年(昭和40年) ・ 三重県発行の学術資料書「志摩の自然」


 そこで今回は、志摩地方についての 「稀覯本」 を幾つか紹介させて頂いた次第ですが、当地方全域の郷土誌としての推薦書は、 「鳥羽志摩新誌」 ( 中岡志州編著、昭和45年・中岡書店発行 ) です。 この一冊で、昔の志州 ( 鳥羽 ・ 志摩地方 ) の事から昭和年代までの、志摩地方のいろんな事がよく判ると思います。


昭和45年・中岡書店発行の「鳥羽志摩新誌」

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