アバウトなつぶやき

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硝子雛展と神宮美術館開館25周年展

2019年03月27日 | かんしょう
 このところ、なにかと余裕がなくて展覧会の感想を書いていられないので、備忘録としてちょろっと画像と一言をアップしておこうと思うわけで。

 まず、2月の初めにまっちゃんと伊賀の赤井家住宅で開催されていた硝子雛展を観てきたこと。
 
 全国のガラス作家さんたちが作るおひなさまは綺麗だしとっても可愛い!
 どうやら昨年も開催されたようで「硝子雛展Ⅱ」だったんだけど、残念ながら次回の開催は決まっていないらしい。とっても綺麗だったので次回があれば見たいのですが…残念です。
 そしてこの日は、松尾芭蕉ゆかりの「蓑虫庵」と鍵屋の辻「伊賀越資料館」にも寄りました。

 地図で見て、近くて興味の持てそうなところをチョイスしたわけで下調べはナシ。
 それでも蓑虫庵はとても趣があって良かった。同じものが京都にあったらさぞ賑わうだろうに。
 んで、伊賀越資料館については、今回寄ることにしたおかげで初めて日本には「日本三大仇討」と呼ばれるものがあることを知りました。仇討ちと言えば赤穂浪士しか知らんわ…って程度だったけれど、歌舞伎や文楽の演目になって人気があったようですね。日本人、ホンマに仇討ちとか好きやな(-_-;)

 それから、昨年からしばらく改装のため休館だった神宮美術館が再開して第一弾の展覧会は
天皇陛下御即位30年記念 神宮美術館開館25周年記念特別展 -歌会始御題によせて―「光」―平成のお題を振り返る―
でした。3月は平日の空きがそれなりにあったので、会期初めに一人でGO。
 
 絵も素敵な作品が出ていましたが、神宮美術館の所蔵品は毎度のことながら工芸品の方に惹かれます。
今回は増村紀一郎氏の乾漆茶器「暁光」が何とも愛らしくてメモってきました。漆器の作家さんは覚えておきたい人がどんどん増えるわ。
 そして、家族と行くと決して寄ってくれない農業館や神宮徴古館もついでに見れて満足~。
 徴古館はもちろんなんだけど、農業館がヒットしたワタクシ。
 すっかり古めかしい展示になっちゃってる農業館ですが、何が良いって、農業館の創立に尽力した田中芳男氏って本草学の伊藤圭介の弟子なんですって。私、つい本草学の人に注目しちゃうんで…館内でやたらと伊藤圭介を褒めてたりするのが「なんかわかるわ~」って感じで微笑ましかったです。
 しかし徴古館と美術館の展示が立派な分、農業館はビミョーに感じるんですよねぇ。初見なので結構じっくり見れたけど、2回目以降になるとキビシイだろうなぁ。

池田学 どうぶつたち

2019年02月11日 | かんしょう
 伊勢外宮前にある神楽サロンで開催中の「池田学 どうぶつたち」を観てきました!




 2017年に佐賀と金沢、それから東京で個展が開催されていた池田学氏。
 美術手帖の紹介を見て、気になって気になって仕方がなかったのだけれど行く機会が作れず、後でずーっと後悔していた作家さんです。
 そしたら今、動物画の原画を地元三重で見られると知り(神楽サロンさんは土日祝のみの営業なので)「休日の伊勢は混むんだよな~」と思いながら行って参りました。

 神楽サロンさんはフランス料理のボン・ヴィヴァンの横にあるギャラリーです。三重県立美術館にも出店しているミュゼ・ボン・ヴィヴァンは姉妹店なのかな?カフェ・ボンヴィヴァンって姉妹店のカフェがあるからそれっぽいんだけど。
 レストランの対面にあるチョコレート専門店ダンデライオン・チョコレートに隣接しています。扉を開けるとこんな感じで、この廊下の奥が入口です。

 始めて来たので、しばらく入口が分からなかった

入って左手に今回のどうぶつの絵があり


右手側の壁には小林和史氏の作品と池田学氏の版画《存在》が。




 原画は十数点なので決して多くはないのだけれど、あまりの細かさに見入って(魅入って)しまってどんどん時間が過ぎていきます。

 

 私が池田氏を知ったのは大画面の中に小さな世界をぎゅーっと詰め込んだ、びっくりするほど細かく、そしてスケールの大きい作品なのですが、それとは別に東京動物園協会発行の季刊誌『どうぶつと動物園』で動物画を描いていらっしゃるのだそうです。
 この方、基本は丸ペンだけで描いてらっしゃるんですよね。
 新作には筆で透明水彩を使った作品もありますが、それは右手を傷めた時期だからかな?と推察します。(もっとよく調べたらわかるかも)
 実際、原画の中にあった↓のカバの水の表現も筆でホワイト塗ってあるかと思って近寄ったら…

グレーのインクとペンで描かれてました。すごっ。

 撮影して良いですよ、と言われたのでもっとバシバシ撮っても良かったのですが、カメラではあの細かさが写せなかったので諦めてしまいました。
 神楽サロンは池田学氏の《予兆》の原画をお持ちとのことで、また観れる機会がありそうです。やったー

「空の情景」展

2019年02月01日 | かんしょう
 メナード美術館で開催中の所蔵企画展「空の情景」を観てきました。




 
 空にまつわる作品を集めた展覧会で、絵画をメインとして陶芸や彫刻も展示されています。
 メナード美術館へは2度ほど来たことがあるだけですが毎回新しい発見をさせてもらっていて、今回も静かな感動を頂いて帰ってきました。

 空の情景というテーマなので、集められた作品がどれも気持ちを解き放つような魅力があります。
 それぞれに場の情景が浮かぶので現実離れしているというわけでも無いのだけれど、見ていると今、自分がいる空間を忘れるような気になります。ちょっとしたトランス状態というか、それがとても気持ち良いのです。
 
 私が今回、新しく発見したのは田渕俊夫氏の作品の美しさでした。

▲田渕俊夫 《刻》の絵はがき。 名古屋の街を描いてます。 チラシ裏面に《遠い思い出・家路》も載ってますが、印刷の限界を感じてしまう…。
 田渕氏は少し前にもメナード美術館で個展が開催されていたので院展好きの同僚から名前は聞いたことがあったのですが、それまでどんな方か知らなかったし気にしたこともありませんでした。実際に作品を目の当たりにして「えっ、こんなに私好みの作家さんだったとは」と院展を観に行ったことがないのを後悔しました。
 
 あと、初公開コレクションとなるニコラ・ド・スタール《灯台(アンティーブ)》はイチオシらしくて年間スケジュールの表紙を飾ったり、アネックス(別館)の入口にパネル状にして写真撮影が出来るコーナーが設けてあったりします。

▲《灯台(アンティーブ)》のパネル。近くで撮ったので歪んでるけど。

 この展覧会は会場内の全部が気に入ってしまいました。所蔵企画展なのでこれっきり見られないというわけでは無いのだと思いながらも、もう一度見たいという気持ちになる展覧会です。
 ゆっくり見たいから、平日にもう一度行きたいな。。。

「パラランドスケープ “風景”をめぐる想像力の現在」展

2019年01月25日 | かんしょう
 先週のことですが、いつものようにシロウタと一緒に三重県立美術館で開催中の「パラランドスケープ “風景”をめぐる想像力の現在」展を見てきました。





 この展覧会は5名のアーティストがそれぞれが違う視点で風景を切り取って表現しています。
 既存の風景を扱う部屋もあれば、見知らぬ風景を思わせる部屋もあります。

 まず、入館してすぐのエントランスホールには伊藤千帆さんの作品が展示されています。いつもと違う雰囲気の三重美が出迎えてくれて気分が上がります。
 今回の展覧会は撮影OKということだったので、この後いくつか撮影した写真を紹介しますが、彼女の作品だけ撮り忘れてました。しまった
 ホールには木が敷き詰められ、天井からは下に向かって枝が伸びているのですが、その枝は三重県林業研究所で伐採予定だったケヤキやサクラを組み合わせたものだとか。下から見上げるだけでなく2階からも眺めることが出来るので、色んな表情が楽しめます。
 木目のプリントされた半透明のラテックスのカーテンは光が入り込むことで空間自体を木で囲まれたものにしようとしたのでしょうか。木の清々しさと光の柔らかさを感じる空間が広がっています。

 会場に入って1室目は尾野訓大さんの展示です。
 何枚もの写真を、展示室の壁全体だけでなく、窓の外や内階段の上にまで張り巡らせています。
 まずは天井から貼られている巨大な風景写真のインパクトが目を引きます。いつも展覧会で入っているこの部屋はこんなに天井が高かったのか、と、思います。それに、この部屋から窓の外を見るのって久しぶりです。明るいな~。
 広々とした展示方法に、初めて来た場所のような気持ちにさせられました。
 写真に目をやると、それぞれ見たことがあるような、でもやはり全く知らない風景が写っています。そして、よく見るとそれは大きくプリントされた雄大な連山に見えるものが海辺の岩礁だったり、美しく咲いた花が萎れた姿を同時に見せたりしています。
 解説によると、それぞれ数時間という長時間露光で撮影した写真とのことでした。
 写真という、本来なら一瞬を切り取る媒体の中に時間を詰め込んでいるので、移りゆく姿が不思議な雰囲気を醸し出しているのです。
 現代の、SNS上で共感を求めるための写真とは異なるとのことで、、、そうなんですけども、そういうのばボ-ダーレスで考えても良いんじゃないかと思うわけで、なんちゅーか、わざわざ解説しなくてもこの展示だけで十分個性が伝わるのでは無いかとその時は思ったわけです。
 手のひらにおさまるスマホから見る景色ではなく、いつも見えないはずの景色がいつもと違う大きさで目の前に迫っているだけで、それはもう個性的な展示なわけで…。でも、解説を読まなかったら、その比較をしなかったでしょうし、そういう視点では見なかったかも知れないので、やっぱり解説って必要なんだと、思い直しました。
 いやぁ、作品を知ろうとすると考えさせられますねぇ。

 
 2室目は稲垣美侑さんの展示です。

 第一印象は「かわいいぞ~」。
 半透明の布越しに広がる空間はやわらかく、移動する度に視点が変わるので楽しい気持ちにさせられます。
 クリアで鮮明なものって、視覚でも感覚でもガラスのようにすっきりしていて気持ちが良いのですが、氷砂糖のように、光を真っ直ぐに通さずにぼんやりと色んなものを包み込む感じもまたそれはそれで良いものです。
 
 この日は県民ギャラリーのお客さんが多かったようで、この展覧会を目当てに来ているわけではなさそうな方がたくさんいらっしゃいました。
 その中におじいちゃん二人組がいらっしゃって「こりゃ~、なんだ?これが芸術かぁ。オレには分からんけど、○○ちゃん(もう一人のおじいちゃんのお名前)は美術部やったでわかるやろぉ」と言いながら展示室に入って来ました。
 するとお相手のおじいちゃんが「うーん、スケッチとかは行ったけどなぁ、こういうのとは違うで…」と言いつつガラスブロックを覗き込んで「おっ、こっちから見るとあっちが中に入ってるように見えるなぁ」と、結構大きめの声で話しておられる。でも騒がしいというのではなく、本当に微笑ましいお二人でして。
 「あぁ、ホントやなぁ」「わからんけど面白いなぁ」と言っているのが、まさに作家の意図した「風景がふとした瞬間に与えてくれる新鮮さ」を楽しんでると感じて、こういう新しい出会いがあるのが美術館の醍醐味だなぁと、こちらまでとても楽しい気分になりました。
 『三重県鳥羽市の離島を尋ね歩いた体験をインスピレーションに作品を制作』とのことですが、作品を観て鳥羽を連想することはなくともその風景(この場合は展示室の絵画)が見え隠れする感じは海沿いの街にある路地や坂道に通じるものがありました。

 そのお二人とほとんど一緒に入ったのは、徳重道朗さんの第3室。
 まずは、三重美所蔵の三重の南勢地域を描いた作品が紹介されています。この部屋は南伊勢町、大紀町、紀北町の集落がモチーフなので、そのつかみになってます。
 ふたりのおじいちゃんは「伊勢湾台風は高校生の時やったなぁ」「あぁ、これは□□の風景やなぁ」「行ったことあるんか?」「あぁ、ここに××と旅行に行った」なんてことを話しています。ん~、お二人は地元三重県人で間違いございませんね!

 上の写真は展示スペースの奥の方の雰囲気ですが…なんだかケースがガタガタに配置されていますよね。この全体的に無秩序とも思える変わった配置は海岸線をイメージしているとかで、雑多な雰囲気は生活感のある漁村にはピッタリです。
 
 ↑(左)は、この地域にトンネルが開通した時に配布された「貫通石」が展示ケースに入っています。貫通が物事を貫くことに通じるということで縁起物として扱われるそうです。
 販売される事もあるそうですが、この時は希望者に配布されたそうで、両側から掘り進めて貫通したときの工事関係者の喜びが伝わります。
 この展示方法も面白くて、展示ケースは斜めに配置され、トンネルのようです。そしてその奥に入り込むとそこには大きめの「貫通石」があるのです。
 
 この、奥を覗き込むと見える何か、という手法は芦浜原発建設計画関連の資料を展示しているコーナーにも使われています。
 原発の建設計画のあった南伊勢町(当時は南島町)の普段の写真の貼られたパーテーションの奥に中部電力の原発計画資料が隠れていました。
 町の写真は朴訥な人々の暮らしとともに、過疎化している寂しさを感じさせます。その中にひっそりと計画地の立ち入り禁止看板があり、なんというか大きな力がするりと隙間に入り込もうとしていたのが分かります。
 結局、この計画は2000年に撤回されるのですが、この時の資料ももちろん展示されていて、件のお二人が「これは北川さんの業績やなぁ」としみじみ話しているのが印象的でした。
 私も三重県人なので、北川正恭(当時)知事が三重県は環境県である、と謳っていたのを覚えています。ただその頃、うちの近所には紆余曲折のあったゴミ処理施設計画なんかがございまして「環境だなんだと言ってる割にはこんな工法の施設建ててたらダメでしょ」と思ったりしたものです。でも、この功績を思うと「北川さん、頑張ってくれてありがとう」という気持ちになるなぁ。
 と、ちょっと社会派な感じですが、風景を切り取って体感的な見せ方をするというインスタレーション。とても面白いです。そして三重県の美術館でやってる意義みたいなのも感じます。
 長く居ないと分からない事情の中にも外から見た客観的な視線が混じっているので、この作家はここの出身の人ではないって分かる。この展示を《対岸の風景》と名付けたのは、やはりこの方がジャーナリストでなくアーティストなんだということの現れだと思います。

 4室目は伊賀市在住の藤原康博さん。今回の5人は少なからず三重と関係のある方なんですね。

 奥にリーフレットの表に使われた作品《あいだの山》が見えますね。
 手前の小屋には入ることが出来まして、中には模型であったり道具であったりと色んなものが詰まっていました。
 こうやってちょっと秘密の小部屋を覗きこむ感じってワクワクします。子どもの頃の何かを思い出すような気がするんですよね。
  
 この方の描く絵は、どこか知ってる景色のような気がします。どこにでもあるような景色を独特のタッチで描くので、見る側がそれぞれ「ここ、あの場所に似てる」と思えるのでしょう。
 解説に「制作に当たって、自らの個性やモチーフの特徴を強調するのではなく、ある種の匿名性を帯びさせることに留意している」と書いてありました。なるほど、それなら私の感じたものは作品の意図したものから外れてなかったという事かしら。
 この方は絵だけでなく他にも立体作品を作ってるのかな、と思って検索をかけたらギャラリーの作品紹介がヒットしました。
 そしたら、あらあら、なんだか可愛らしい雰囲気の作品も出てきました。作品に対する姿勢は変わらないのでしょうが、今回の展示のようなちょっと厳かな雰囲気のものとは違う、ポップなフォルムのものが出てきたんです。色んな表現をお持ちの方なんですねぇ。

 私はあまり現代美術に積極的ではないので、こうやって現代作家さんの作品を観る機会があると新しい出会いがあって楽しいです。
 コレクション展では企画展に合わせて風景にちなんだ作品が出展されているので、久しぶりに渡部裕二氏の作品が観れてほっこり今回は三重県立美術館の主催ならではの作品が満喫できて、また三重美に愛着が湧きました。
 他所の美術館へ足を運ぶのは旅行気分でこれまた楽しいんだけれど、地元の美術館はお馴染みならではの味わいがあるものです。
 また、次回の企画展を期待しています。

アルヴァ・アアルト展

2018年12月16日 | かんしょう
 名古屋市美術館で開催中のアルヴァ・アアルト展を観てきました。 




 はい、今回も北欧はフィンランドより、建築家アルヴァ・アアルトの展覧会です。ブームですもんね、現在も松坂屋では北欧フェアやってますしね。
 この数年で何度も北欧関連の展覧会へ足を運んでおりますが、それでも飽きずに行ってしまいます。
 特に北欧のデザインやライフスタイルを生活に取り入れているつもりはないけれど、愛すべきデザインとしていつの間にか小物が近くにあったりします。
 そのデザインの源流をたどるのはやはり面白いし、興味深い。学生時代に室内デザインから家具について学んだことがあるため、どうしても近代建築家は気になります。
 現在、有名なデザインの椅子をデザインした作者と言えばデザイナーの名前が挙がるでしょうし、中世まで遡ると職人の仕事なので工房の名は聞かれても個人の名前が挙がることはほぼありません。
 しかし近代の場合、建築家が自分の設計した建築物に合う家具までデザインしていることが多く、またその家具が工業製品として発売される事例が相次いだため、名作と呼ばれる椅子の作者に建築家の名前が多いのです。

 さて、アアルトと言えば建築家ですが、一般的に彼のデザインとして思い出すのは椅子、ランプシェード、そしてフラワーベースでは無いでしょうか。私は手芸が好きなので、テキスタイルとしてアルテックの発売している生地を思い出します。

▲アルテック社のSIENAシリーズ これで小物を作ったことも

 今回はアアルトの包括的な展覧会ということで建築物の紹介も多く見られます。アアルトを有名にしたのは「パイミオ」の家具と言われており、パイミオの名前の付いたシリーズはとても有名です。そのパイミオのサナトリウムを紹介するスケッチや映像、写真の他に病室の内装と家具も展示されていました。
 パイミオの外観はこれまでにも見たことがありましたが、病室の内装を見たのは初めてでした。ベッドやテーブルがペパーミントグリーンに塗られていて、そのやさしい色合いはシンプルなのにかわいらしい。
 病室の再現の他に、2014年に撮影された内部の写真もありました。そしたら部屋のカーテンが前述のSIENAの生地だったのですが、あれはもともとパイミオ用にデザインされた生地なのかな?そうでなくとも、あのデザインは個性的なのに他のものと競合しません。やはり秀逸かと。
 展覧会の第6章として「融通性のある規格化と再構築」が紹介されています。
 家具も建材も、彼のデザインを商品化するにあたり個人のニーズと大衆の需要のバランスが課題だったようですが、デザインが良いと同じ規格を使っていても少しずつ違うものが出来る。そして個性を感じるのに、飽きたりしない。そういう意味でアアルトのデザインは素晴らしいと思うのです。(同じフィンランドデザインでもそういう視点だと、私にとってマリメッコは位置づけがちょっと違う)
 会場も建築展っぽい広々した演出で、私はとても楽しめました。一般的かというとちょっとビミョーですが。

 デザインと別の話ですが、アアルトがニューヨーク万国博覧会で設計したフィンランド館内で上映した映像作品がありました。
 内容はフィンランドのドキュメンタリーで、国土を拓いて発展していく様子を撮影しているのですが、その中に家族で海水浴を楽しむシーンがあったんですよ。
 !!!フィンランドの海って泳げるんですか?!
 あんな緯度の高いところで海水浴が出来るとは思わなかった。白人の体感温度は高いという話は聞いたことがありますが(汗腺も少ない?)、以前、日本でダイビングをしているドイツ人が「ドイツの海は冷たくて潜れないよ~」って言ってたので北欧なんて泳ぐ習慣は無いかと思ってました。
 北海道でも夏はそれなりに暑いように、フィンランドも夏はそこそこ気候が良いんでしょうか。他国の事って全然知らないんだなぁ、としみじみ感じる一幕でした。