Joker's Social Experiment
2022年9月号「懲戒処分」はこちら。
今回は校内倫理委員会ネタをお休みします。というのも、長いつきあいの現役学校事務職員が、ある事件のために逮捕されてしまい、とても犯罪を特集する気持ちになれないからです。
ということで、人事委員会勧告を解説。
今年度の人事委員会勧告の内容は、10月6日の午後3時に公表されました。まあ、それ以前に内容は知っていても紹介するのは仁義に反するというわけ。
もちろん、労使交渉や県議会の意向などによってこの勧告の内容がすべてそのとおりになるかは微妙ですが、基本線は示されました。今年度のポイントは
〇月例給、ボーナスともに引上げ
〇職員の定年を65才に引上げ
〇60才を超える職員の給料は、当分のあいだ、60才前の7割を支給
この三つです。まず給料。どれくらい引き上げるかというと
・初任給を3~4千円
・若年層を2000円
・その他は100円~200円(管理職をのぞく)
つまり若い職員に手厚い形になっています。「それっぽっちですか」と思うかもしれませんが、若い時点で上がれば、生涯賃金に大きく影響しますし、公務員志願者の減少に危機感を抱いて若手を厚遇するのは理解できます。ただし、物価高のために首相自身が賃上げを要請している状況なので、なんらかの上乗せが要求されるのは目に見えています。どうなるものだか。
つづいてボーナス。
・支給月数(つきすう)を0.10月分引上げ
・引き上げるのは期末手当ではなくて勤勉手当
勤務成績によって額が左右され、取得した特別休暇などによって影響を受けやすい勤勉手当ではなく、期末手当に加えてほしかったところですが、まず、増えることは増えます。
給料とボーナスの引上げ分がいつ支給になるのかはまだ不明。しかし県議会の日程によってある程度予想できることになるでしょう。
さて、定年引上げについては、あまりにも大きな話なので別に特集します。ひとつだけ予告しておくと、今年度に60才になる(なった)人たちが、最後の60才定年退職者になるだろうということ。
さて人事委員会勧告において、他にどんなことが語られているかというと……
・教育職員の多忙化の解消は喫緊の課題
・男性職員の育児休業取得は順調に増えているものの、教育職員はまだまだ
・職員採用試験において、山形県の最終合格者の4割は女性
・民間企業との人材獲得競争がし烈になるなか、採用試験実施時期の前倒し、合格有効期間の延長など見直しが必要
・テレワークに伴う光熱費などの負担軽減のために、新たな手当について検討を進める
・ストレスチェック(やってくれましたよね)の更なる活用を推進する
……などなど、読み物としても人事委員会勧告はなかなか面白いのでした。
本日の1冊は「爆発物処理班の遭遇したスピン」佐藤究著 講談社
あの「テスカトリポカ」の佐藤究の新作。量子力学を利用した爆弾という、どうにも理解しにくい存在が日米政府を翻弄する。
思いきり簡略化して説明すると、あのシュレディンガーの猫(死亡する確率が1時間で50%の猫が箱に入っている。その猫が生きているか死んでいるかはふたを開けてみるまで確定していない)の設定に、映画「ダークナイト」でジョーカーが仕掛けたふたつの船の命題(善良な市民が乗る船と、囚人たちが乗る船があり、一定時間内にどちらかが爆弾のスイッチを起動して相手を沈めなければ、どちらも沈められてしまう)をシェイクして……すいません全然説明になってませんね。にしても、ああ映画館に行きたい。
2022年11月号「定年引き上げ最新情報」につづく。