事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「昼田とハッコウ」 山崎ナオコーラ著 講談社

2019-03-16 | 本と雑誌

紙の本には愛着がある。町の本屋にはもっとある。

この小説は、自分では冷静にキャリアを積み重ねてきたつもりの、ある事情をかかえた男が、書店員として屹立するお話でもある(メインは違うけどね)。

山崎ナオコーラは、旦那さんが書店員(&詩人)なので、そのあたりの事情がとても納得できる。

その事情というのが、血縁がからんだ話で、わたしは「ゴッドファーザー」におけるトム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)の日本版だと思って読んでいました。トムはファミリーのために地味ぃな仕事をこなし、コルネオーネ家への忠誠を示す。自分は脇役だと。

でもね、トムを中心としたストーリーがちゃんと成立するとこの作品で理解できる。

エッセイで山崎ナオコーラは、もう自分の作品は売れないと醒めている。でも、子どもを育てながらも、自分は24時間小説家なのだとほとばしる思いを。

この小説が長大なのは、彼女のその思いの影響だろう。すばらしい作品です。ごめん、わたしもこれを図書館で借りました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「スパイダーマン:スパイダ... | トップ | いだてん 第11回 百年の孤独 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本と雑誌」カテゴリの最新記事