紙の本には愛着がある。町の本屋にはもっとある。
この小説は、自分では冷静にキャリアを積み重ねてきたつもりの、ある事情をかかえた男が、書店員として屹立するお話でもある(メインは違うけどね)。
山崎ナオコーラは、旦那さんが書店員(&詩人)なので、そのあたりの事情がとても納得できる。
その事情というのが、血縁がからんだ話で、わたしは「ゴッドファーザー」におけるトム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)の日本版だと思って読んでいました。トムはファミリーのために地味ぃな仕事をこなし、コルネオーネ家への忠誠を示す。自分は脇役だと。
でもね、トムを中心としたストーリーがちゃんと成立するとこの作品で理解できる。
エッセイで山崎ナオコーラは、もう自分の作品は売れないと醒めている。でも、子どもを育てながらも、自分は24時間小説家なのだとほとばしる思いを。
この小説が長大なのは、彼女のその思いの影響だろう。すばらしい作品です。ごめん、わたしもこれを図書館で借りました。
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