事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「沖縄やくざ戦争」 (1976 東映)

2013-09-11 | 邦画

Okinawayakuzawarimg01京阪神殺しの軍団で、さまざまな差別がやくざ映画にしこまれていることを特集。今度は沖縄の問題を。

「沖縄やくざ戦争」は76年の東映作品。監督は「狂った野獣」の中島貞夫。主演は松方弘樹……ということになっているけれど、観おわると誰もが「千葉真一すごかったなー」とあきれることになります。

その千葉が演じるのは国頭正剛。琉盛会国頭派のトップ。沖縄返還当時、コザでブイブイいわせていて、本土から進出してきた居酒屋をお得意の空手でぶち壊します。彼のために殺人を犯し、刑務所に入っていた、いわば恩人が中里(松方弘樹)。彼は返還の恩赦でシャバに出てくる。彼の不在のあいだに力をつけて(というか国頭に取り入って)いたのが石川(地井武男)。この三者が本土勢とからんで押したり引いたりするのが基本線。

そのなかでも国頭の狂いっぷりは群を抜いていて、ちょいとなわばりを破った中里の部下(室田日出男)を、見せしめのために……えーと、えーと、つまり局部をペンチでちょんぎるという無法ぶり。しかも後先考えずに関西旭会(どう考えても山口組)の幹部を、ヤマトの連中は気に入らないという理由だけでひき殺し、頭をかかえる幹部をしり目に

「戦争、だーい好き」

と放言する。あの、沖縄においてだからこそ皮肉な発言。

撮影当時、この沖縄抗争は現実に続いていて、だから沖縄では撮影できず、公開もされなかったそうだ。しかし沖縄らしさはきっちり出ている。ちょん切られた室田は復讐を誓い

「タックルせぇ、タックルせぇ」

とつぶやく。さすがアメリカ占領時代が長かった沖縄だから方言まで英語まじりかと思ったら「たっ殺せぇ、たっ殺せぇ(ぶち殺せ)」だったんだね

興味深いのは、久米島出身者たちが、「お前ら本島のもんは」とコンプレックスむき出しなこと。しいたげられてきた沖縄の内部でも、さらにヒエラルキーが存在したとは。

長い年月、占領という形でしかし安定していた沖縄が、返還という一大イベントによって利権構造がひっくり返る時期。そこを本土の極道たちは虎視眈々と狙っていたというお話。もちろん、狙っていたのが極道だけではなかったであろうことは、大人になったわたしは理解できるのでした。

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1 コメント

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ご指摘の通り、沖縄じゃ撮影できなかったんだなあ。 (hori109)
2013-09-16 17:49:08
ご指摘の通り、沖縄じゃ撮影できなかったんだなあ。
だからラストのドンパチがどうみても沖縄の海とは
思えないあたりがね(笑)
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