公募校長ふたたび。

公募セクハラ校長の復職方針、保護者が猛反発
　
大阪市立小の民間出身の男性校長が保護者へのセクハラ行為で更迭された問題で、この校長が研修後、再び学校現場への復帰を目指すことに波紋が広がっている。

保護者らは「学校には戻ってきてほしくない」と強く反発しているが、任期中は地方公務員の扱いで、簡単には免職されない。「校長職」に限定した採用であるため、他の職務にも回せず、市教委内部からも困惑の声が上がっている。

「なぜ現場に戻すのか」「減給では軽すぎる」。セクハラ行為が認定された市立三先(みさき)小の吉田敬校長（59）について、減給6か月の懲戒処分と将来的な職場復帰方針が示されたことを受け、11日、市教委には市民から抗議の電話が相次いだ。

吉田校長を含め、同市では今春、11人の民間人校長が誕生した。赴任前の3か月にわたり、民間人校長らは校長実務を学ぶため、それぞれ三つの学校を訪問。各校で１週間ずつ、現職の校長に付き添い、日常業務や児童、保護者らとの接し方などを学ぶ「シャドウイング」と呼ばれる研修を受けた。このほか、座学で関係法令や政治的中立性など、校長・公務員としての知識や心得を学んだという。

それでも、不祥事は起きた。ある市教委幹部は「教職員から昇任した校長なら間違いなく辞職するケース。強制的に辞めさせる手段がない以上、不本意だが、復職に向けて動くしかない」と打ち明ける。公募校長の募集要項には「任期（3年）付きの市立小中学校長」とあり、特別な雇用契約書は取り交わしていない。採用時は校長として辞令交付しており、事務職などには異動させられないという。別の幹部は「特定の職に限定して採用する公募制度の弊害だ」と話す。

復職方針について、市立小に１年生の長男を通わせている大阪市中央区の主婦（31）は「セクハラをするような校長が息子の学校に赴任したらと思うとゾッとする」と話す。

現場の教員も手厳しい。市立小のある男性教諭は「教育の素人がほんのちょっとの研修で校長になれること自体がおかしい。復帰は子どもや保護者の気持ちを全く無視した話で、あり得ない。処分の甘さにあぜんとしている」と語気を強めた。
（2013年9月12日 読売新聞）

……くりかえしになるが、わたしは「教育の素人がほんのちょっとの研修で校長になれる」からこの制度には意義があると考えている。問題はその導入の仕方と志願する人物にあるわけで、今回の騒動はどちらも最悪の選択をしたことがわかる。

大阪市長が校長を公募するとしたのは、当然のごとく「公務員をたたくことで市民の喝采をあびる」計算があったからで、“しがらみが多く”“旧弊な考えから脱却できず”“トップダウンの改革におくびょうな”校長に、自分の考えに似た人物たちを連れて来て一気に変革しようとしたわけだ。

大阪市長の考えは、これまで彼が行ってきた施策を見ればわかるように独裁的・国家主義的色彩が強く、さして目新しいものではない。しかしパッケージングはうまかったので、大阪では評価が高いのかもしれない。

ただ、これは一種の幻惑にすぎず、慰安婦発言などでみんなが冷静になれば批判も増えるし、彼を支持していたはずの読売もこんな記事になっている。問題は、ここからこの制度をどう立ち直らせるかだが、どうも市長の発想の根底には「もっとおれを批判しろ」という自虐的な傾向もあるようだし、一度やめて検証してみるという選択はなさそうだ。やれやれである。

それにしても実名が出たこの校長はいい根性をしている。報道によれば、彼は4月に赴任以来、5月に児童の母親に

『僕と会えなかったらさみしい？』

『君の気持ちを聞かせてよ』

などのメールを送り、飲食店で行われた親睦会で会計をする際に、その母親のお尻をさわり、地域のバーベキュー大会で、10代後半の少女に

「彼氏おるの？もうやったん？」

と質問している。そして6月には、親睦会であいさつをする際に、例の母親の肩から腰にかけてさわり、別の親睦会では、違う母親に

「旦那のこと、愛してる？」

「もうあんまり、やってないの？」

と……こんな報道があって居座るとすれば確かに学校に新しい風が。

でもまもなく辞職することにはなるだろう。わざわざ応募して彼がやりたかったこと（まさかこんなセクハラがしたかったわけではあるまい）の実現は不可能になったわけだし。君に会えなくなるのは少しさみしいかな。君の気持ちを聞かせてよ。

なんと公募校長みたびにつづく。