事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「本当の学校事務の話をしよう」 柳澤靖明著 太郎次郎社エディタス

2016-07-04 | 学校事務職員

読んでいるあいだ、ずっとドキドキしていた。ここには確実に“自分と同じようなことで思い悩み、しかし自分と違ってはっきりと問題解決に動き出した”学校事務職員の姿がある。学校事務職員のリアルが存在するのだ。もっと若いころにこんな本が出ていたらなあ。

「あの……この本を書いた人って、どんな商売の方なんですか?」

ヤナギサワにもらったチラシを若手にぶんまいていたら、著者近影にいきなりつっこまれた。確かにホスト系のルックスだけどさあ(笑)。

彼はなによりも埼玉県の現役の学校事務職員なのであり、現役であるからこその試行錯誤の日々がつづられている。しかし誰かさんの馬鹿げたエッセイと違い、歴然と学校以外の世間に向けて、いま学校はこうなっているんですよ、学校事務職員とはこんな仕事をしているんですよと発信している。閉じていないのだ。学校をむしろ客体化しているというか。

その意味で、彼がいつも手がけている保護者向けの事務室だよりの姿勢に近い。だから各ページに、われわれベテラン学校事務職員なら誰でも知っていることがらについて注釈がついていて、事務職員以外にもまことに読みやすくなっている。

あ、おれは今うそをつきました。ベテランの事務職員でもよくわかってないことが懇切丁寧に解説してあるので「おー、そういうことだったのか」と目からウロコがバランバランと落ちる仕掛けになっている。その意味でも必読。

もちろんこの本をもっとも面白く読めるのは学校事務職員自身だろうとは思う。公費と私費の区別に悩み、公費増額に学校事務職員ならではの手法で取り組むその手練手管が直接参考になるし、就学援助や未納問題について、若いくせにこれだけ冷静に対処できるのだから腹も立つ(笑)。

それは違うんじゃないかという点や、埼玉だけしか通用しない話でもあるんじゃないかとつっこむ人もいるだろうし、もっとすごい実践を自分はやっているぞという手ごわい人もいるかも。

でもこれだけは言える。その話を、ここまで面白く語れるのはヤナギサワだけだ。ほんとうなら一気に読めるのに、こりゃもっとだいじに読まなきゃ、とセーブしながら読みました。絶対のおすすめ。あなたが、学校事務職員であってもなくても。

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でもわたしの読者のなかには、あえて教育用品系で注文してくれた人もいた。なるほどなるほど。彼らにも学校事務職員とはなにかを知ってほしいしね。

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