事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「写楽 仮名の悲劇」 梅原猛著 新潮社

2011-02-16 | 本と雑誌

8eca8ay わたしのまわりにも梅原史観のファンはいる。さぞや立派な学者なのであろう。でも、学者というのは自説を主張するために、ここまで自己喧伝につとめ、他説を罵倒しなければならないのだろうか。

わたしは島田荘司の「閉じた国の幻」のすばらしさのために写楽に興味をもってこの書を手にとったのだけれど、いやはやすごいのだ。たとえば、島田が一定の評価を与えている池田満寿夫の写楽=道化役者中村此蔵説には

「私は池田氏を版画家として尊敬しているが、この論証はとても認めがたい。もとよりこれは、池田氏の一時の遊びである。遊びとしては十分面白い。余りに遊びにこだわらない方が池田氏のためによいのではないかと私は思う」

ここまで言うかー。まあ、在野の研究者たちはもっと激烈なのだろうが。

にしても、梅原説の『あの人物』が写楽であるよりも、島田説の方が(なにしろあまりに突拍子もない)はるかに魅力的だし、浮世絵には『刷り』という段階があるのだから、某人物との類似の可能性はさけがたいあたり、梅原説はやはり無理筋だろうなと愚考します(低姿勢)。

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