「安寿と厨子王だよ。聞いたことないかなあ」
「ぜんぜんないです」
「こどもの頃に絵本で読まなかったかあ」
うーん、若手の認識にはびっくりだ。なかには
「このタイトルですけどね、おれ読めないんですけど」
「……」
『あんじゅとずしおう』とはこんなお話だ。
永保初期(11世紀末)、陥れられて西国へ追放となった奥州陸奥国の大守、岩城判官正氏のあとを追って旅立った妻は佐渡へ、安寿姫と厨子王丸の姉弟は丹後へ売られてしまった。
姉弟は残忍な山椒太夫に酷使されながら逃亡の機会を見つけたが、弟を逃がすため安寿姫はつかまって殺されてしまう。無事のがれた厨子王丸はのち京に出て養子となり、やがて父の罪も許されて、丹後・越後・佐渡領域をいただいた。
そして丹後におもむき、山椒太夫を死罪にした厨子王丸は、佐渡へ旅立ち、母を訪ね歩いた。道端で鳥追いの老女が “安寿恋しやホウヤレホウ厨子王恋しやホウヤレホウ鳥も情あるものなれば追わずとも去れやとうとうに“と歌っていた。それは、なつかしい母の変わり果てた姿であった。
~上越市ホームページより~
えーと、正直に言うとわたしもストーリーはすっかり忘れておりました。確か舟が出てくるんだとか、老婆が最後に出てくるはずだとか、断片しかおぼえていない。えらいことは言えません。
さて、この物語は中世に成立した伝説をもとに子ども向けにアレンジされたもの。だからさまざまなバージョンがあるようだ。
それにしても意外にスケールの大きな話。陸奥(平安時代は青森~岩手~宮城~福島を包括していた)から新潟へ、新潟から丹後(京都北部)、最後には佐渡にもどる展開。絵本の印象だとちまちましたお話だと思っていたのだけれど。
それに、よく考えたら佐渡だの拉致だのって、このお話はあまりに……以下次号。
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