‘07年に木村拓哉主演でTVドラマ化され、“重い”設定であるにもかかわらず、キムタクの威光もあって高視聴率をゲット。もちろんそれは、上海ロケを敢行するなど3シリーズ分の予算をぶちこんだTBSの意気込みが反映したためでもあるだろう。でも、山崎豊子の原作が持つ、一種の“不道徳さ”を日本人が愛していることも一因だと思う。
山崎は資料の咀嚼の仕方が雑なものだから、よく盗作騒ぎになる。それが常に大ニュースになるのは、彼女の小説がいい意味でジャーナリスティックだからだ(“モデル”たちが激怒することもあるだろうけれど)。
「白い巨塔」で大学病院内部の封建性をえぐり出し、「不毛地帯」で航空機選定の商戦が、実はかなりおまぬけであることを暴き、「大地の子」では、日本人が忘れたがっている中国残留孤児問題をとりあげている。そしてそれぞれ、不倫や汚職など、下世話な装飾をほどこしてあるのだ。不道徳さ、とはそんな意味。
「華麗なる一族」はそんな下世話パッケージのきわめつけ。“妻妾同居”+“息子の嫁をレイプ”ときたもんだ。
役名 続柄 映画版 1974年版 2007年版
万俵大介 当主 佐分利信 山村聰 北大路欣也
万俵寧子 妻 月岡夢路 久我美子 原田美枝子
万俵鉄平 長男 仲代達矢 加山雄三 木村拓哉
万俵早苗 嫁 山本陽子 柏木由紀子 長谷川京子
万俵銀平 二男 目黒祐樹 林隆三 山本耕史
美馬一子 長女 香川京子 三ツ矢歌子 吹石一恵
美馬中 長女の夫 田宮二郎 佐藤慶 仲村トオル
万俵二子 次女 酒井和歌子 島田陽子 相武紗季
高須相子 家庭教師 京マチ子 小川真由美 鈴木京香
三雲祥一 大同銀行頭取 二谷英明 池部良 柳葉敏郎
上のキャスト一覧を見てほしい。今回の主なテキストは’74年の東宝映画版(それにしてもこのDVDのパッケージほど堂々と監督~山本薩夫~の名前をミスっているのは珍しい)。キムタク版はほとんど見ていないので。しかしわたしは、山村聰がテーブルの下で愛人の小川真由美のスカートをまさぐる’74年のテレビ版もいやらしくて好きなんですけど(笑)。
以下次号。
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