わたしの世代の漫画好きで、大友克洋を無視できる人間はいない。
妙に白いコマ、虚飾のかけらもないキャラ、破滅的なのに楽天的なストーリー展開などに感化されて、わたし、「ハイウェイスター」「さよならにっぽん」「気分はもう戦争」「童夢」「AKIRA」など、(高野文子の旦那がやっていた綺譚社のは手に入りませんでしたが)主な単行本は全部買ってます。
そしてもちろん処女作品集「ショートピース」も。で、そんなタイトルの映画を大友克洋がつくったとなれば、原作はあの漫画だと誰だって思います。でも違った。「武器よさらば」以外はほぼオリジナルストーリーのオムニバス。
オトナのためのアニメを標榜しているのだから、当然前衛に走っているのだろうと想像したらそっちも違った。ものすごい娯楽作だったのである。面白かった!
第一話は「九十九(つくも)」。旅人が山中の祠に入ると、そこでは使い古された品々が人に恨みを晴らそうと待っている。旅人はやおら箱をとりだして……まるで「千と千尋の神隠し」のようなお話。主役の声は山寺宏一。
第二話「火要鎮(ひのようじん)」は脚本と監督が大友。八百屋お七と落語の「火事息子」(三代目三木助のが絶品ですよ)を合わせた設定に、過激な描写が走る。
第三話「GAMBO」の舞台はどうやら山形。宇宙から訪れた“鬼”は、山里の女たちをさらい、子孫を残そうとしている。ただひとり残った少女の願いを、獰猛で巨大な熊が叶える。原案はなんと「鮫肌男と桃尻女」の石井克人、キャラクターデザインはエヴァンゲリヲンの貞本義行。
第四話「武器よさらば」は、富士山が噴火し、火山灰が降り積もる東京で、無人兵器と死闘を繰り広げる(でも大友の原作どおりテンションはあまり高くないし軽口はかかせない)男たち。
……いずれも、いい感じ。テーマは「日本」。だから様々な形で富士山が出てくる。火要鎮のアートワークとGAMBOの破天荒さだけでも一見の価値あり。よくぞ公開してくれた鶴岡まちなかキネマ。感謝!
他に私だけ??となっている「あの花」「中二病」公開と
今秋のまちキネ、アニメも中々のチョイスです。
おそらくはわたしの世代ストライクな作品だと
思ってたので。
五十すぎても「あの花」で泣けるかなあ……
とりあえずTV版をDVDレンタルでご覧になって、お気に召されたなら劇場版鑑賞で良いと思います。
そうですね、まずはテレビ版だ。
そこでボロ泣きだとおれは中年として
どうかと思うけど(-_-)