事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「バーン・アフター・リーディング」Burn After Reading (2008 ギャガ)

2009-05-17 | 洋画

Burn_after_reading 「ノーカントリー」でアカデミー賞を受賞したジョエル&イーサン・コーエン兄弟による犯罪コメディ。ワシントンのフィットネスジムで働くチャドは、CIAの機密情報と思われるものが入ったCD-ROMを拾う。そのデータを利用して一攫千金を狙うチャドは、情報の持ち主である元CIAのオズボーンを脅迫するが……。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンドら豪華俳優陣が集結。(eiga.com)

開巻、はるか上空からカメラは下降をはじめ、ワシントンの某所に侵入する。そしてラストではまたしてもカメラは上空へ帰っていく。これは要するに、神の目線でながめているんですよ、とコーエン兄弟が手の内をさらしているわけ。何を見ている?愚かな人間たちの所業を。

……いやはやびっくりした。平日の一回目に入ったのにけっこうたくさんの観客がつめかけていたので。

 考えてみれば「ノーカントリー」でアカデミー賞をとったばかりのコーエン兄弟の新作だし、クルーニー&ブラピが主演をはっているなど、キャストもおそろしく派手な連中が集まっている。ヒットする要因はそろっている。

でもね、「ノーカントリー」がはらんでいた胃が痛くなるような緊張感とは無縁な作品だし(意外な部分で驚かされたりするのだが)、クルーニーは脂ぎった不倫中年で、いざ妻に見限られると鬱になってしまう情けない役。ブラピはお馬鹿キャラ爆発で「ベンジャミン・バトン」の哀愁などかけらも感じさせない。お客さんたちは喜んだのかなあ。

前にも特集したように、コーエン兄弟は出来不出来がはげしい。「未来は今」や「レディ・キラーズ」のような気が遠くなる作品もあれば、「ブラッド・シンプル」「ファーゴ」のように、激しい暴力描写とユーモアが渾然一体となっている傑作もある。わかりやすくいうと、兄だか弟の奥さんであるフランシス・マクドーマンドが出ていればハズレはありません。

で、今回は事件をひっかき回す整形フェチなトレーナー役で彼女が出演しているので安心。おまけにくせ者俳優の極北、ジョン・マルコヴィッチとティルダ・スゥイントンまで出てくるんだから面白くないわけがない。

出会い系サイトで不倫しまくる登場人物たちは、それぞれが意外な形で“消えて”いくあたり、コーエン兄弟の意地の悪さにニヤリとさせられる。みんながみんな喜ぶことができる映画とは言い難い。でも、お好きな方にはたまらん作品です。

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