監督:ジョエル・コーエン
出演:ジョージ・クルーニー/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
セレブの結婚と離婚がお盛んなロサンゼルス。マイルズ・マッシー(ジョージ・クルーニー)は、この街一番の離婚訴訟専門の弁護士。妻の浮気が原因で離婚を申し立てたTVプロデューサーは、妻の弁護を務めたマイルズの計略に嵌まり、全財産を没収されてしまう。そんな辣腕のマイルズを頼り、美貌の妻・マリリン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)に離婚を迫られた不動産王が駆け込んで来る。浮気現場をビデオに撮られ、不利な状況のレックス陣営。だがマイルズはマリリンをディナーに誘い、彼女の弱みを探り出してゆく……。
コーエン兄弟の映画はいつも変。どこか変。当たりはずれも大きい。大傑作「ファーゴ」や「ブラッド・シンプル」があるかと思えば、登場人物だけでなく観客にすら悪夢のような時間しか与えない(笑)「未来は今」のような駄作もある。でもとりあえず新作が出たら気になって観てしまう。初日に映画館に駆けつけるなんて何年ぶりだろう。
今回は当たりの方。初老のテレビプロデューサーがサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」を歌いながら始まるオープニングから、もうのりのりである。ストーリーはひたすらアメリカ。離婚、そして訴訟先進国であるが故に、結婚前に(!)財産分与の契約を結ぶ、いわゆるプリナップが物語のキーになっている。そして主役の二人に、独身主義者クルーニー+マイケル・ダグラスとの間で本当にプリナップを結んでいるゼタ=ジョーンズを選ぶセンス。皮肉といえばこれほどの皮肉もない。実はわたしはゼタ=ジョーンズのルックスってちょっと田舎臭い気がして苦手なのだけれど(セックス中毒を広言するマイケルと結婚するって、勇気がいると思う)、今回はゴージャスな美女役がはまってます。
いかにもしゃれた結末、ひねくれたセリフの連続、美男美女のラブストーリーではあるもののその二人が結構歳をとっている(笑)ということで、日本でうける要素はカケラもない。初日なのに観客は10人ぐらいしかいないし、打ち切りは近そうだから急がないと。こんな大人のコメディがヒットしてくれると助かるんだが、コーエン兄弟の映画が全国公開されているだけでもありがたいと言っておこうか。お薦め。